経口や胃瘻の栄養剤、エレンタールの成分組成、カロリー、特徴、副作用について解説しています。
エレンタール:経管栄養剤
エレンタールは、食事摂取が困難な場合の栄養補給に使用される薬です。
歳を取るにつれ、
- 消化管の働きが弱くなる
- 味覚が鈍くなる
- 飲み込みづらくなる
などによってどうしても食欲が低下してしまいます。
また、新生児や乳幼児では、難治性の下痢や栄養状態が悪い場合があります。
いずれも食事から十分な栄養を摂取できなければ、低栄養状態となります。
低栄養状態では、
- 免疫力の低下
- 筋力、骨量の低下
- 認知機能の低下
などさまざまな疾患のリスクを上げてしまいます。
エレンタールの成分組成、カロリー、特徴
低栄養状態を改善するために、経腸栄養剤や輸液が使用されます。
栄養の摂取方法によって以下のように分類分けされます。
胃腸機能が働く場合は経腸栄養剤を、胃腸機能が働かない場合は輸液が使用されます。
経腸栄養剤はさらに、消化の必要の有無で半消化態栄養剤、消化態栄養剤に分かれます。
輸液は末梢静脈から入れるもの、中心静脈から入れるものに分かれます。
エレンタールは、消化態栄養剤です。
消化態栄養剤は、胃腸における消化を必要としません。
そのため、糖質はデキストリンに、タンパク質はアミノ酸やペプチドに予め分解されており、脂質はほとんど配合されていません。
エレンタールは80gの内用剤を合計300mLになるよう水で溶かし服用します。
投与方法は、経鼻・胃瘻・腸瘻チューブだけでなく、経口投与も可能です。
エレンタールの栄養成分組成は以下の通りです。
栄養成分組成 | 含有量[配合剤+水=300mL中] | |
---|---|---|
三大栄養素 | アミノ酸 | 14.10g |
脂肪 | 0.510g | |
糖質 | 63.41g | |
ミネラル、微量元素 | ナトリウム | 260mg(11.3mEq) |
カリウム | 217.6mg(5.6mEq) | |
カルシウム | 157.6mg(7.9mEq) | |
マグネシウム | 40mg(3.3mEq) | |
塩素 | 516.8mg(14.6mEq) | |
鉄 | 1.8mg | |
亜鉛 | 1.8mg | |
マンガン | 0.3mg | |
銅 | 0.2mg | |
ヨウ素 | 15.2μg | |
リン | 121.6mg | |
ビタミン | レチノール[ビタミンA] | 648IU |
エルゴカルシフェロール[ビタミンD] | 51.2IU | |
酢酸トコフェロール[ビタミンE] | 3.3IU | |
フィトナジオン[ビタミンK] | 9μg | |
チアミン[ビタミンB1] | 152μg | |
リボフラビン[ビタミンB2] | 244μg | |
ピリドキシン[ビタミンB6] | 220μg | |
シアノコバラミン[ビタミンB12] | 0.72μg | |
アスコルビン酸[ビタミンC] | 7.80mg | |
ニコチン酸アミド[ナイアシン] | 2.20mg | |
パントテン酸 | 1.10mg | |
葉酸 | 44μg | |
ビオチン | 39μg | |
コリン | 8.56mg |
この表の値は、エレンタール配合内溶剤80gに水250mLを合わせた計300mLでの数値です。
エネルギーとしては、300キロカロリー[kcal]摂取することができます。
塩分制限や水分制限のある患者さんの場合、食塩相当量が0.66g、水分量が250mLで計算します。
やっくん
エレンタールは、消化の不要な消化態栄養剤として働くことによって、低栄養状態を改善します。
エレンタールの副作用
エレンタールは、食事摂取が困難な場合の経管栄養補給薬として、1993年に発売された薬です。
エレンタールの副作用としては、下痢[12.9%]、腹部膨満感[4.4%]、血中AST(GOT)・ALT(GPT)・Al-P上昇[3.7%]、悪心[2.1%]、嘔吐[1.6%]、腹痛[1.5%]等が報告されています。
エレンタールの禁忌
- 重症糖尿病、ステロイド大量投与で糖代謝異常が疑われる場合
[高血糖があらわれるおそれがあります。] - 妊娠3ヵ月以内又は妊娠を希望する婦人へのビタミンA 5,000IU/日以上の投与
- アミノ酸代謝異常[高アミノ酸血症等を起こすおそれがあります。]