胃瘻や経口の栄養剤、ツインラインの成分組成、カロリー、特徴、副作用について解説しています。
ツインライン:経管栄養剤
ツインラインは、食事摂取が困難な場合の栄養補給に使用される薬です。
歳を取るにつれ、
- 消化管の働きが弱くなる
- 味覚が鈍くなる
- 飲み込みづらくなる
などによってどうしても食欲が低下してしまいます。
また、新生児や乳幼児では、難治性の下痢や栄養状態が悪い場合があります。
いずれも食事から十分な栄養を摂取できなければ、低栄養状態となります。
低栄養状態では、
- 免疫力の低下
- 筋力、骨量の低下
- 認知機能の低下
などさまざまな疾患のリスクを上げてしまいます。
ツインラインの成分組成、カロリー、特徴
低栄養状態を改善するために、経腸栄養剤や輸液が使用されます。
栄養の摂取方法によって以下のように分類分けされます。
胃腸機能が働く場合は経腸栄養剤を、胃腸機能が働かない場合は輸液が使用されます。
経腸栄養剤はさらに、消化の必要の有無で半消化態栄養剤、消化態栄養剤に分かれます。
輸液は末梢静脈から入れるもの、中心静脈から入れるものに分かれます。
ツインラインは、消化態栄養剤です。
消化態栄養剤は、胃腸における消化を必要としません。
そのため、糖質はデキストリンに、タンパク質はアミノ酸やペプチドに予め分解されており、脂質はほとんど配合されていません。
ツインラインはA液、B液の2つの液体で1セットであり、用時混合して服用します。
投与方法は、経鼻・胃瘻・腸瘻チューブだけでなく、経口投与も可能です。
ツインラインの栄養成分組成は以下の通りです。
栄養成分組成 | 含有量[A液+B液=400mL中] | |
---|---|---|
三大栄養素 | タンパク質 | 16.20g |
脂肪 | 11.12g | |
糖質 | 58.72g | |
ミネラル、微量元素 | ナトリウム | 276mg (12.0mEq) |
カリウム | 470mg (12.0mEq) |
|
カルシウム | 176mg (8.8mEq) |
|
マグネシウム | 56mg (4.6mEq) |
|
塩素 | 426mg (12.0mEq) |
|
鉄 | 2.52mg | |
亜鉛 | 3.78mg | |
マンガン | 640μg | |
銅 | 92μg | |
ビタミン | パルミチン酸レチノール[ビタミンA] | 828IU |
コレカルシフェロール[ビタミンD] | 54IU | |
酢酸トコフェロール[ビタミンE] | 2.68mg | |
フィトナジオン[ビタミンK] | 252μg | |
チアミン[ビタミンB1] | 806μg | |
リボフラビン[ビタミンB2] | 898μg | |
ピリドキシン[ビタミンB6] | 992μg | |
シアノコバラミン[ビタミンB12] | 1.26μg | |
アスコルビン酸[ビタミンC] | 89.8mg | |
ニコチン酸アミド | 9.91mg | |
パントテン酸 | 3.76mg | |
葉酸 | 100μg | |
ビオチン | 15.4μg |
この表の値は、A液とB液を合わせた400mLでの数値です。
エネルギーとしては、400キロカロリー[kcal]摂取することができます。
塩分制限や水分制限のある患者さんの場合、食塩相当量が0.70g、水分量が340mLで計算します
やっくん
ツインラインは、消化の不要な消化態栄養剤として働くことによって、低栄養状態を改善します。
ツインラインの副作用
ツインラインは、食事摂取が困難な場合の経管栄養補給薬として、1993年に発売された薬です。
ツインラインの副作用としては、下痢[30.4%]、腹部膨満感[7.4%]、腹痛[6.3%]、嘔気[3.3%]、嘔吐[1.1%]、腹鳴亢進[0.5%]等が報告されています。
ツインラインの禁忌
- 高度の肝・腎障害[肝性昏睡、高窒素血症などを起こすおそれがあります。]
- 重症糖尿病などの糖代謝異常[高血糖、高ケトン血症などを起こすおそれがあります。]
- イレウス[消化管の通過障害があります。]
- 肝性昏睡又は肝性昏睡のおそれ[肝性昏睡が増悪又は発症するおそれがあります。]
- 急性膵炎[膵炎が増悪するおそれがあります。]
- 先天性アミノ酸代謝異常[アシドーシス、嘔吐、意識障害などのアミノ酸代謝異常の症状が発現するおそれがあります。]
- 腸管の機能が残存していない患者[水、電解質、栄養素などが吸収されない。]