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テゴー51[アルキルジアミノエチルグリシン]作用機序、効能、使い方

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消毒薬イラスト

低水準消毒薬であるテゴー51[アルキルジアミノエチルグリシン]の作用機序、効能、使い方について解説しています。

テゴー51[アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩]:低水準消毒薬

テゴー51[アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩]は、低水準の消毒薬として環境の消毒に使用されています。

消毒薬といえばエタノールやミルトン、イソジンなどが有名ですが、実は医療機関では10種類以上が使用されています。

消毒薬[販売名] 消毒薬[一般名]
アセサイド 過酢酸
ディスオーパ フタラール
サイデックスプラス、ステリハイド グルタラール
ホルマリン ホルマリン
テキサント、ミルトン、ピューラックス 次亜塩素酸ナトリウム
消毒用エタノール液IP 消毒用エタノール
イソジン ポビドンヨード
オスバン、ヂアミトール ベンザルコニウム塩化物
ハイアミン ベンゼトニウム塩化物
テゴー51 アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩
ヒビテン、マスキン クロルヘキシジングルコン酸塩
リバノール アクリノール
オキシフル オキシドール

これら10種類以上の消毒薬をどのように使い分けしているかというと、次の2つです。

消毒薬の使い分け
  1. 何を殺したいか?[ウイルス?細菌?]
  2. 何に使用するか?[ヒト?物?環境?]

消毒薬の使い分け:①何を殺したいか?

消毒薬の対象は微生物ですが、微生物といってもウイルスや細菌、真菌などさまざまです。

これら微生物は消毒薬が効きやすいものもあれば、ほとんど消毒薬が効果がないものも含まれます。

一般的に、消毒薬に対する抵抗性は、

芽胞菌>ウイルス>結核菌>真菌>一般細菌

の順に強いとされています。

そのため、どの微生物に効果があるかで消毒薬は大きく3つに分類分けされているのです。

消毒薬強さ分類

芽胞菌を含む全ての微生物に効果がある消毒薬が高水準消毒薬、ウイルスに効果がある消毒薬が中水準消毒薬、一般細菌にしか効果がない消毒薬が低水準消毒薬です。

先ほどの表を消毒薬の強さで分類分けすると次のようになります。

分類

消毒薬[販売名]

消毒薬[一般名]

高水準

アセサイド 過酢酸
ディスオーパ フタラール
サイデックスプラス、ステリハイド グルタラール

中水準

ホルマリン ホルマリン
テキサント、ミルトン、ピューラックス 次亜塩素酸ナトリウム
消毒用エタノール液IP 消毒用エタノール
イソジン ポビドンヨード

低水準

オスバン、ジアミトール ベンザルコニウム塩化物
ハイアミン ベンゼトニウム塩化物
テゴー51 アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩
ヒビテン、マスキン クロルヘキシジングルコン酸塩
リバノール アクリノール
オキシフル オキシドール

消毒薬の使い分け:②何に使用するか?

消毒薬にはそれぞれ特性があり、何に使用するかでも使い分けを行います。

一般的に、効果が高い消毒薬ほど毒性が高いため使用できる範囲が狭く、効果が低い消毒薬は安全性が高いため様々な用途で使用されます。

高水準消毒薬=毒性が高い=用途が限られる

低水準消毒薬=毒性が低い=多用途で使われる

そのため、何に使うかを考えた場合、各消毒薬の特性を理解して、使い分けを行います。

消毒薬[販売名/一般名] 手指 手術部位 創傷部位 排泄物 金属器具 非金属器具 環境
アセサイド/過酢酸 × × × × ×
ディスオーパ/フタラール
サイデックスプラス/グルタラール
ホルマリン × × × × × × ×
テキサント/次亜塩素酸ナトリウム × × × ×
消毒用エタノール液IP
/消毒用エタノール
× ×
イソジン/ポビドンヨード × × × ×
オスバン/ベンザルコニウム塩化物 ×
ハイアミン/ベンゼトニウム塩化物
テゴー51
/アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩
× × × ×
ヒビテン、マスキン
/クロルヘキシジングルコン酸塩

[粘膜×]
×
リバノール/アクリノール × × × ×
オキシフル/オキシドール × × × × × ×

テゴー51[アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩]の作用機序、特徴

MEMO

テゴー51[アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩]は、一般細菌に加え結核菌にも消毒効果を示す低水準消毒薬です。

テゴー51の有効成分はアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩です。

アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩は水溶液中で、プラスおよびマイナスに荷電しているため両性界面活性剤に分類されます。

消毒対象となるMRSAや緑膿菌などの一般細菌は、菌体表面がマイナスに荷電しています。

そのため、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩のプラス部分がマイナスの細菌表面に作用し、細胞膜の破壊作用をもたらすと考えられています。

アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩細菌

テゴー51対象微生物

やっくん

テゴー51[アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩]は、両性界面活性剤として細菌表面に作用し細胞膜を破壊することで、消毒・殺菌作用を示します。

テゴー51[アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩]の効果、用途

テゴー51[アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩]は、手指や医療器具の消毒薬として、1956年に承認された薬です。

それぞれの使用部位によって適応濃度が異なります。

適応部位 濃度
手指・皮膚の消毒 0.05~0.2%溶液で約5分間洗った後、滅菌ガーゼあるいは布片で清拭する。
手術部位(手術野)の皮膚の消毒 0.1%溶液で約5分間洗った後、0.2%溶液を塗布する。
手術部位(手術野)の粘膜の消毒、皮膚・粘膜の創傷部位の消毒 0.01~0.05%溶液を用いる。
医療機器の消毒 0.05~0.2%溶液に10~15分間浸漬する。
手術室・病室・家具・器具・物品等の消毒 0.05~0.2%溶液を布片で塗布・清拭するか、又は噴霧する。

低水準消毒薬に分類され、ウイルス類や真菌類には効果がない場合があるため、一般細菌に対して用いる消毒薬になります。

また、他の低水準消毒薬は結核菌に対して効果はありませんが、テゴー51は0.2~0.5%溶液を用いることができます。

テゴー51は消毒効果に加え洗浄作用もある

テゴー51は陽イオンと陰イオンの2つを持っているため、両性界面活性剤に分類されます。

そのため、陽イオン界面活性剤の消毒効果と陰イオン界面活性剤の洗浄効果の2つを持ちあわせています。

テゴー51浴槽

手指など皮膚への適応もありますが、洗浄作用によって脱脂作用が強いためあまり用いられません。

他の低水準消毒薬とは異なり、汚れを取る洗浄作用があるため、環境の消毒や浴槽・水回りなどの汚れがある場所で0.5%~原液など高濃度で用いられます。

テゴー51[アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩]の使い方、注意点

テゴー51[アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩]を使用する際の注意点をまとめてみました。

使用方法・注意点
  • 長時間金属器具には使用しない→腐食作用があります
  • 汚れがある場合は濃度を考慮する→汚れがあると濃度が低下します
  • 石けんや洗剤を十分に洗い流す→石けんの陰イオンとテゴー51の陽イオンによって中和されます
  • 使用時、微生物の混入に注意する→消毒薬が汚染されます

テゴー51[アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩]の使用期限

  • 未開封時の使用期限:製造から5年
  • 開封後の使用期限[原液]:製造から5年
  • 開封後の使用期限[希釈滅菌後]:半年程度[使用時細菌の混入に注意]

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