消毒用エタノール液IP[免税アルコール]作用機序、効能、使い方

2017年11月19日

消毒薬イラスト

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消毒用エタノール液IP[免税アルコール]:中水準消毒薬

消毒用エタノール液IP[免税アルコール]は、中水準の消毒薬として皮膚や環境などあらゆる場面の消毒に使用されています。

消毒薬といえばエタノールやミルトン、イソジンなどが有名ですが、実は医療機関では10種類以上が使用されています。

消毒薬[販売名] 消毒薬[一般名]
アセサイド 過酢酸
ディスオーパ フタラール
サイデックスプラス、ステリハイド グルタラール
ホルマリン ホルマリン
テキサント、ミルトン、ピューラックス 次亜塩素酸ナトリウム
消毒用エタノール液IP 消毒用エタノール
イソジン ポビドンヨード
オスバン、ヂアミトール ベンザルコニウム塩化物
ハイアミン ベンゼトニウム塩化物
テゴー51 アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩
ヒビテン、マスキン クロルヘキシジングルコン酸塩
リバノール アクリノール
オキシフル オキシドール

これら10種類以上の消毒薬をどのように使い分けしているかというと、次の2つです。

①何を殺したいか?[ウイルス?細菌?]
②何に使用するか?[ヒト?物?環境?]

消毒薬の使い分け:①何を殺したいか?

消毒薬の対象は微生物ですが、微生物といってもウイルスや細菌、真菌などさまざまです。

これら微生物は消毒薬が効きやすいものもあれば、ほとんど消毒薬が効果がないものも含まれます。

一般的に、消毒薬に対する抵抗性は、

芽胞菌>ウイルス>結核菌>真菌>一般細菌

の順に強いとされています。
そのため、どの微生物に効果があるかで消毒薬は大きく3つに分類分けされているのです。

消毒薬強さ分類

芽胞菌を含む全ての微生物に効果がある消毒薬が高水準消毒薬、ウイルスに効果がある消毒薬が中水準消毒薬、一般細菌にしか効果がない消毒薬が低水準消毒薬です。

先ほどの表を消毒薬の強さで分類分けすると次のようになります。

分類

消毒薬[販売名]

消毒薬[一般名]

高水準

アセサイド 過酢酸
ディスオーパ フタラール
サイデックスプラス、ステリハイド グルタラール

中水準

ホルマリン ホルマリン
テキサント、ミルトン、ピューラックス 次亜塩素酸ナトリウム
消毒用エタノール液IP 消毒用エタノール
イソジン ポビドンヨード

低水準

オスバン、ヂアミトール ベンザルコニウム塩化物
ハイアミン ベンゼトニウム塩化物
テゴー51 アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩
ヒビテン、マスキン クロルヘキシジングルコン酸塩
リバノール アクリノール
オキシフル オキシドール

消毒薬の使い分け:②何に使用するか?

消毒薬にはそれぞれ特性があり、何に使用するかでも使い分けを行います。

一般的に、効果が高い消毒薬ほど毒性が高いため使用できる範囲が狭く、効果が低い消毒薬は安全性が高いため様々な用途で使用されます。

高水準消毒薬=毒性が高い=用途が限られる

低水準消毒薬=毒性が低い=多用途で使われる

そのため、何に使うかを考えた場合、各消毒薬の特性を理解して、使い分けを行います。

消毒薬[販売名/一般名] 手指 手術部位 創傷部位 排泄物 金属器具 非金属器具 環境
アセサイド/過酢酸 × × × × ×
ディスオーパ/フタラール
サイデックスプラス/グルタラール
ホルマリン × × × × × × ×
テキサント/次亜塩素酸ナトリウム × × × ×
消毒用エタノール液IP
/消毒用エタノール
× ×
イソジン/ポビドンヨード × × × ×
オスバン/ベンザルコニウム塩化物 ×
ハイアミン/ベンゼトニウム塩化物
テゴー51
/アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩
× × × ×
ヒビテン、マスキン
/クロルヘキシジングルコン酸塩

[粘膜×]
×
リバノール/アクリノール × × × ×
オキシフル/オキシドール × × × × × ×

消毒用エタノール液IP[免税アルコール]の作用機序、特徴

消毒用エタノール液IP[免税アルコール]は、芽胞菌以外の微生物に消毒効果を示す中水準消毒薬です。

消毒用エタノール液IPの有効成分は消毒用エタノールです。

消毒用エタノールは、76.9~81.4vol%のエタノールと精製水からできています。

エタノール自体はお酒のアルコールと同じ成分であり、飲用できるアルコールとみなされてしまうため、約50%程度の酒税が課されているのです。

もちろん、医療機関では飲用に使うことがなかったのですが、免税されることはありませんでした。

消毒用エタノール液IP開発経緯

そこで、免税目的に飲めないアルコールであるイソプロパノールを3.7vol%添加した消毒薬が開発されました。

それが消毒用エタノール液IPになります。

IPとはイソプロパノール[イソプロピルアルコール]の略になります。

消毒用エタノール液IPは、従来の消毒用エタノールと同等の効果を持ちながら価格を約半分に抑えた消毒薬です。

消毒用エタノール液IPの作用機序は明らかではありませんが、細胞膜やタンパク質の変性作用であるとされています。

消毒用エタノール液IP対象微生物

やっくん

やっくん

消毒用エタノール液IP[免税アルコール]は、アルコールの細胞膜やタンパク質への浸透作用によって、消毒・殺菌作用を示します。

消毒用エタノール液IP[免税アルコール]の効果、用途

消毒用エタノール液IP[免税アルコール]は、手術部位や手指、医療器具の消毒薬として、2003年に承認された薬です。

消毒効果に速効性、速乾性があるため、主に手指や医療機器、環境の消毒に使用されてきました。

他の消毒薬と比較して高価なため、器具に対しては、浸漬消毒ではなく清拭消毒を行います。

中水準消毒薬に分類されますが、テキサント、ミルトン[次亜塩素酸ナトリウム]イソジン[ポビドンヨード]より効果が低い消毒薬になります。

消毒用エタノール液IPの濃度が100%でない理由

消毒用エタノール液IPは、エタノールを76.9~81.4vol%含む消毒薬です。

実は、エタノールを主成分とする消毒薬は他にもあり、95.1~96.9vol%エタノール99.5vol%以上の無水エタノールがあります。

一見濃度の高い無水エタノールが最も消毒効果が高いように思えるのですがそうではありません。

はっきりとした機序はわかっておりませんが、ある程度の水分を含む消毒用エタノール液IPが最も消毒効果が高いとされているのです。

消毒用エタノール液IP エタノール 無水エタノール
濃度 76.9~81.4vol% 95.1~96.9vol% 99.5vol%以上
消毒効果 高い 低い 低い
酒税 免税 課税 課税

そのため、エタノールや無水エタノールを消毒薬として使用する場合は、水で薄めて使い、消毒用エタノール液IPを使用する場合は原液で使用することが望ましいと言えます。

消毒用エタノール液IPはインフルエンザやノロウイルスに効果がある?

中水準の消毒薬である、次亜塩素酸ナトリウム[テキサントやミルトン]ポビドンヨード[イソジンやネグミン]インフルエンザノロウイルスに対して十分な効果があるとされています。

しかし、イソプロパノールエタノールなどのアルコール類はインフルエンザには十分な効果がありますが、中でもノロウイルスには効果がないと言われています。

ウイルスはエンベロープと呼ばれる細菌で言う細胞膜のようなものを持つものと持たないものに分かれます。

エンベロープを持つウイルスはアルコールが効きやすく、エンベロープを持たないウイルスはアルコールが効きにくいのです。

エンベロープの有無によって主なウイルスをわけると次のようになります。

エンベロープを持つウイルス インフルエンザウイルス、B型・C型肝炎ウイルス、RSウイルスなど
エンベロープを持たないウイルス ノロウイルス、アデノウイルス、ロタウイルス、A型肝炎ウイルスなど

そのため、ノロウイルスには消毒用エタノールやイソプロパノールなどのアルコールが効きにくいと言われているのです。

しかし、最近はノロウイルスやアデノウイルスなどのエンベロープのないウイルスに対してもある程度の効果があると言われています。

さらに、中性であるアルコールのpHを酸性やアルカリ性にして殺菌力、殺ウイルス力を高めた消毒薬も販売されているため、実際にはアルコール製剤でもノロウイルスやアデノウイルスにある程度は効果があると言ってもよいでしょう。

消毒用エタノール液IP[免税アルコール]の使い方、注意点

消毒用エタノール液IP[免税アルコール]を使用する際の注意点をまとめてみました。

  • 皮製品や床には使用しない→着色や変質を起こします
  • 原液のまま使用する→薄めると効果が減弱します
  • 噴霧しない→揮発性が高く効果が減弱します
  • 傷口や粘膜には使用しない→刺激性が強いため適しません
  • 使用後はキャップを閉め密閉する→揮発性が高く濃度低下が起こります

消毒用エタノール液IP[免税アルコール]の使用期限

  • 未開封時の使用期限:製造から3年
  • 開封後の使用期限:製造から3年[安定性高い]
  • 綿球作成時の使用期限:7日[開封頻度による]

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