スタレボ[レボドパ+カルビドパ+エンタカポン]は、パーキンソン病の治療薬として使用されています。
パーキンソン病の治療薬として使用されるスタレボ[レボドパ+カルビドパ+エンタカポン]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
スタレボ[レボドパ+カルビドパ+エンタカポン]:パーキンソン病治療薬
私たちが普段何気なく取る行動、立ち上がる、歩く、走る、食べる、これらの行動はすべて脳から無意識の指令が出ています。
その無意識の指令に欠かせないものが「ドパミン」と呼ばれる物質です。
中でも重要なのが、脳内の「黒質」と呼ばれる部位で作られるドパミンです。
黒質で作られたドパミンは、「軸索」と呼ばれる長ーい突起を通って「線条体」で放出されます。
放出されたドパミンがドパミンの受容体にくっつくことで、歩くや走るといった身体の運動に関わる指令を伝えるのです。
この指令を伝えることから、ドパミンは神経伝達物質と呼ばれています。
ドパミン量が減ってしまう病気がパーキンソン病です。
パーキンソン病とは、黒質から軸索、線条体の間に異常が生じ、ドパミンが脳内でうまく作られなくなった病気です。
スタレボ[レボドパ+カルビドパ+エンタカポン]の作用機序、特徴
パーキンソン病とは、脳内のドパミン量が減っていることで生じる病気です。
脳内のドパミン量を増やす際、体内にあるレボドパといったドパミンの前段階の物質が重要になります。
レボドパは脳の中に移動し、脳内のレボドパ脱炭酸酵素の作用で分解され、ドパミンが作られるのです。[上図赤矢印の経路]
しかし、体内には、COMTやレボドパ脱炭酸酵素が存在するため、ほとんどのレボドパは体内でドパミンに分解されてしまい、脳に到達することができなくなります。[上図白矢印の経路]
パーキンソン病の治療薬としてレボドパを服用しても、脳に到達するレボドパはわずか1%であり、残りの99%は体内で分解されてしまうのです。
スタレボ[レボドパ+カルビドパ+エンタカポン]は、脳内のドパミンを増やすために3つの成分が配合されている薬です。
1つ目は「レボドパ」と呼ばれる成分です。
体内のレボドパ量を増やすために使用されます。
しかし、これだけでは脳に到達するレボドパは1%のみです。
脳に到達する割合を上げるために2つ目の成分が配合されています。
2つ目は「カルビドパ」です。
カルビドパは体内のレボドパ脱炭酸酵素阻害薬として働きます。
脳内には移動できないため、脳内では働きません。
3つ目は「エンタカポン」です。
エンタカポンは体内のCOMT阻害薬として働きます。
つまり、メネシット、ネオドパストン[レボドパ+カルビドパ]とコムタン[エンタカポン]の配合薬ということになります。
やっくん
スタレボ[レボドパ+カルビドパ+エンタカポン]はドパミンの前段階であるレボドパと、レボドパの分解を防ぐカルビドパ、エンタカポンの配合剤であり、脳内のドパミン[DA]量を増やし、パーキンソン症状を改善します。
スタレボ[レボドパ+カルビドパ+エンタカポン]の特徴:レボドパは酸性条件で溶解する
スタレボ[レボドパ+カルビドパ+エンタカポン]の有効成分のひとつであるレボドパは、酸性条件で溶解し体内に吸収されます。
そのため、高齢者で胃酸分泌が不十分であったり、食事によって胃内pHが上昇したときや、H2ブロッカーやPPIなどの制酸剤を服用していると効果が不十分になる可能性があるため注意が必要となります。
スタレボ[レボドパ+カルビドパ+エンタカポン]の副作用
スタレボ[レボドパ+カルビドパ+エンタカポン]は、パーキンソン病の治療薬として、2014年から使用されています。
代表的な副作用としては、ジスキネジー[37.5%]、便秘[20.2%]、着色尿[14.4%]、幻覚[9.1%]、悪心[8.5%]、傾眠[8.2%]、貧血[6.2%]、ジストニー[6.2%]、不眠症[5.9%]などが挙げられます。
スタレボ[レボドパ+カルビドパ+エンタカポン]の禁忌
- 悪性症候群、横紋筋融解症
- 閉塞隅角緑内障[眼圧上昇を起こし、症状が悪化するおそれがあります。]
- エフピー(セレギリン/非選択的モノアミン酸化酵素阻害剤)
[ドパミンの分解を阻害し、ドパミンやノルアドレナリンの濃度が高くなります。]