このページでは、血液検査値のひとつ白血球数[WBC]の読み取り方を薬の副作用との関連性を含め解説しています。
白血球数[WBC]とは?基準値について
白血球とは、血液中の血球成分です。
血球は、赤血球・白血球・血小板の3つに分かれます。
血球はすべて骨髄中の造血幹細胞の分化によって産生されます。
白血球は、細菌やウイルスなどから身体を守る生体防御に関与しますが、その機序によっていくつかに分かれています。
白血球 | 顆粒球 | 好中球 | 40-75% | 走化性・貪食性 |
好酸球 | 0-8% | Ⅰ型アレルギーに関与 | ||
好塩基球 | 0-2% | ケミカルメディエーター遊離に関与 | ||
無顆粒球 | 単球[マクロファージ] | 2-10% | 貪食性 | |
リンパ球 [Tリンパ球・Bリンパ球] |
18-49% | 免疫系に関与 |
血液検査における白血球数は、好中球・好酸球・好塩基球・単球・リンパ球を合わせた値です。
白血球数は、white blood cell countを略して”WBC”と表記されます。
白血球数[WBC]の基準値は、3.3-8.6[×103/μL]です。
[日本臨床検査協議会:共用基準範囲2014より]
白血球数[WBC]が多い場合
白血球数が増加する原因は、反応性と腫瘍性に分かれます。
細菌感染症などの炎症性の疾患が反応性、白血病などの血液悪性腫瘍が腫瘍性です。
反応性の白血球数増加は感染症のほか、組織損傷、自己免疫疾患、薬、糖尿病などの内分泌・代謝異常が挙げられます。
白血球数[WBC]が少ない場合
白血球数が減少する原因は、さまざまです。
ウイルス感染によるもの、骨髄の疾患によるもの、薬剤性のものが主になります。
白血球数[WBC]と関連する薬剤性の副作用
一般的には、抗癌剤、抗ウイルス剤、免疫抑制剤によって白血球数が減少することが知られています。
特に抗癌剤では、効果が強い反面、骨髄に対する副作用も多くティーエスワンの臨床試験では、ほぼ半数の患者が白血球数の減少が認められています。
白血球数・好中球数の重症度については次のように定められています。
Grade1[軽症] | Grade2[中等症] | Grade3[重症] | Grade4 [生命を脅かす] |
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白血球数[×103/μL] | 3.0-3.5 | 2.0-3.0 | 1.0-2.0 | 1.0> |
好中球数[×103/μL] | – | 1.0-1.5 | 0.5-1.0 | 0.5> |
[2016年:有害事象共通用語規準CTCAE Ver4.0]
また、これらとは異なり、アレルギー性の機序で白血球数の減少が起こる薬剤として次の薬剤も知られています。
1)抗炎症薬 | ジクロフェナク、イブプロフェン、セレコキシブ、インドメタシン、アセトアミノフェン |
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2)抗菌薬 | クロラムフェニコール、スルファメトキサゾール、レボフロキサシン、アシクロビル |
3)抗甲状腺薬 | チアマゾール |
4)抗てんかん薬 | カルバマゼピン、バルプロ酸 |
5)ヒスタミン受容体拮抗薬 | ファモチジン、ラニチジン、シメチジン |
6)その他 | チクロピジン、クロピドグレル、エナラプリル、カプトプリル、トリクロルメチアジド、アロプリノール、メトトレキサート、サラゾスルファピリジン |
[参考:検査値×処方箋の読み方]