前立腺肥大症の治療薬、アボルブ[デュタステリド]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
アボルブ[デュタステリド]:前立腺肥大症治療薬
アボルブ[デュタステリド]は、前立腺肥大症に伴う排尿困難の治療薬として使用されています。
前立腺とは、男性が持つ膀胱の下部にある生殖器であり、精液を作ったり、精子を守ったりといった働きをしています。
この前立腺が何らかの影響で大きく膨れがってしまい、尿が出にくくなってしまう病気が前立腺肥大症です。
前立腺肥大症の原因
前立腺肥大症の原因は、大きく2つに分けられます。
前立腺そのものが大きくなりすぎている場合と、交感神経が過敏に緊張し尿道が狭くなっている場合です。
- 物理的な原因:前立腺そのものが大きくなる
- 機能的な原因:交感神経の緊張
アボルブ[デュタステリド]の作用機序、特徴
前立腺肥大症において、前立腺そのものが大きくなる原因は、男性ホルモンの働きであるとされています。
その中でも、テストステロンが5α還元酵素で代謝された、ジヒドロテストステロン[DHT]の量が増えると前立腺が腫れあがり、大きくなることがわかりました。
これら男性ホルモンをターゲットにした前立腺肥大症の薬で従来使用されていた薬がプロスタールです。
プロスタールは、男性ホルモンに対してさまざまな作用を示します。
テストステロン量も減ってしまうため、インポテンツや性欲減退などの生殖器全般に副作用が現れるということが問題視されていました。
テストステロン量を維持しつつ、ジヒドロテストステロン[DHT]量を減らす薬として開発されたのが、アボルブです。
アボルブは、テストステロンがジヒドロテストステロン[DHT]に代謝される際に必要な、5α還元酵素のみを阻害することで、ジヒドロテストステロン[DHT]の活性を低下させます。
やっくん
アボルブ[デュタステリド]は、5α還元酵素を阻害し、ジヒドロテストステロン[DHT]の活性を低下させることで、前立腺の肥大を抑制し、前立腺肥大症に伴う排尿困難の治療に使用されます。
アボルブは、前立腺肥大の原因のひとつである“ジヒドロテストステロン”には直接作用しないため、半年程度服用することで3割程度前立腺を小さくする効果が現れるとされています。
その一方で、服用を中止してしまうと前立腺は徐々に元の大きさに戻ってしまいます。
アボルブ[デュタステリド]の副作用
アボルブ[デュタステリド]は、5α還元酵素のみを阻害する前立腺肥大症の治療薬として、2009年に日本で初めて発売された新しい薬です。
主な副作用としては、勃起不全[3.2%]、リビドー減退[1.7%]、乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感)[1.5%]などが挙げられます。
性機能障害関連の副作用が報告されているため、初回投与時には患者への説明をしっかりと行うなど注意が必要です。
アボルブは妊娠を望む女性が触れてはいけない
アボルブは、内服薬ですが、皮膚からも吸収されることが知られています。
男性ホルモンに作用する薬のため、子供の催奇形性が報告されていることから、これから妊娠を望む女性が触れないようすることが必要です。
アボルブ[デュタステリド]の禁忌
- 女性、妊婦、授乳婦
- 小児
- 重度の肝機能障害