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ラコールNF半固形剤の成分組成、カロリー、水分量、副作用

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胃瘻で使われる栄養剤のひとつがラコールNF半固形剤です。

このページでは、ラコールNF半固形剤の成分組成、カロリー、特徴、副作用について解説しています。

ラコールNF半固形剤:経管栄養剤

ラコールNF半固形剤は、食事摂取が困難な場合の栄養補給に使用される薬です。
歳を取るにつれ、

  • 消化管の働きが弱くなる
  • 味覚が鈍くなる
  • 飲み込みづらくなる

などによってどうしても食欲が低下してしまいます。

食事から十分な栄養を摂取できなければ、低栄養状態となります。

低栄養状態では、

  • 免疫力の低下
  • 筋力、骨量の低下
  • 認知機能の低下

などさまざまな疾患のリスクを上げてしまいます。

ラコールNF半固形剤の成分組成、カロリー、特徴

低栄養状態を改善するために、経腸栄養剤や輸液が使用されます。

栄養の摂取方法によって以下のように分類分けされます。

栄養剤分類

胃腸機能が働く場合は経腸栄養剤を、胃腸機能が働かない場合は輸液が使用されます。

経腸栄養剤はさらに、消化の必要の有無で半消化態栄養剤消化態栄養剤に分かれます。

輸液は末梢静脈から入れるもの、中心静脈から入れるものに分かれます。

MEMO

ラコールNF半固形剤は、半消化態栄養剤で、液体製剤のラコールNFを改良し胃瘻患者のために作られています。

半固形剤にすることで、胃の中に食事をためて腸へ送り込むという通常の食事に近い蠕動運動や消化・吸収が期待されます。

ラコールNF半固形剤は、液体製剤のラコールNFと摂取エネルギー当たりの有効成分及び含量は全く同じです。

半消化態栄養剤は、胃における消化を必要としません。

しかし、腸によってタンパク質と脂質を消化する必要があります。

そのため、ラコールNF半固形剤中の糖質はデキストリンに分解されていますが、タンパク質は牛乳のカゼインや、大豆由来のものが使用されており、脂質も大豆、シソ油など消化態栄養剤より多く配合されています。

ラコールNF半固形剤の栄養成分組成は以下の通りです。

栄養成分組成 含有量[1バッグ=300g中]
三大栄養素 タンパク質 13.14g
脂肪 6.69g
糖質 46.86g
ミネラル、微量元素 ナトリウム 221.4mg
カリウム 414mg
カルシウム 132.0mg
マグネシウム 57.9mg
塩素 351mg
1.875mg
亜鉛 1.920mg
マンガン 0.399mg
0.375mg
リン 132.0mg
ビタミン類 レチノール[ビタミンA] 621IU
コレカルシフェロール[ビタミンD] 40.8IU
酢酸トコフェロール[ビタミンE] 1.950mg
フィトナジオン[ビタミンK] 18.75μg
チアミン[ビタミンB1] 1140μg
リボフラビン[ビタミンB2] 735μg
ピリドキシン[ビタミンB6] 1125μg
シアノコバラミン[ビタミンB12] 0.960μg
アスコルビン酸[ビタミンC] 84.3mg
ニコチン酸アミド[ナイアシン] 7.50mg
パントテン酸 2.874mg
葉酸 112.5μg
ビオチン 11.58μg


この表の値は、ラコールNF半固形剤300g中の数値です。

エネルギーとしては、1バッグ300gで300キロカロリー[kcal]摂取することができます。

塩分制限や水分制限のある患者さんの場合、食塩相当量が0.57g、水分量が228mLで計算します。

注意

ラコールの半固形剤と液剤とでは水分量が異なるので注意が必要です。[液剤は200mL中170mLが水分]

やっくん

ラコールNF半固形剤は、消化がある程度可能な半消化態栄養剤として働くことによって、低栄養状態を改善します。

ラコールNF半固形剤は、ワーファリンとの相互作用を考慮し、ビタミンK[フィトナジオン]量を少なくしていることが特徴です。

NFとはビタミンKを減量したNew Formula[新しい組成]から名付けられています。

液剤のラコールを半固形化するメリット

従来の液剤のラコールを胃瘻から注入する場合は、200mLを2時間程度ゆっくりと時間を掛けて注入してきました。

通常、経口から食事を摂った時は、口腔内でよく噛むことで[咀嚼して]半固形上にし、胃の中で貯留・撹拌・排出されます。

そのため液体のラコールでは、生理的な胃の蠕動運動が起こらず、消化吸収能に影響が出やすいと考えられます。

半固形生理的

半固形化することで次のメリットがあることが文献等から報告されています。

  • 投与時間の短縮
  • 食事摂取に近い
  • 誤嚥性肺炎の減少
  • 下痢・嘔吐の副作用の減少
  • 高血糖やダンピング症候群の減少
  • 栄養剤が漏れにくい

そこで、粘稠剤としてアルギン酸と寒天を加えることで半固形化し、ラコールNF配合経腸用半固形剤が開発されたのです。

MEMO

ラコールNF半固形剤は、胃の中に食事をためて腸へ送り込むという通常の食事に近い蠕動運動や消化・吸収が期待されます。

また、1バッグ300gに対し、6-9分という短時間で注入することができます。


食事イラスト

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ラコールNF半固形剤の使用方法

ラコールNF半固形剤は1バッグ300gの注入に6-9分の時間を掛けます。

注入後は30mL程度の水分をフラッシングしチューブ内の薬液を洗い流します。

ラコールNF半固形剤の水分量は、300g中228mLで計算します。

ラコール液剤の水分量は、200mL中170mLなので注意が必要です。

ラコールのみでは水分が足りないため、別に水分を追加します。

追加水分量については医師と相談したうえで、半固形剤の注入30分前か2時間後に水分を注入します。

ラコールNF半固形剤には、別売りになりますが専用アダプタおよび加圧バッグの用意があります。

専用アダプタは滅菌されており再利用不可と記載されていますが、実際は洗浄・乾燥後に繰り返し使用されているのが現状です。

ラコール半固形アダプタ

これは、胃瘻処置自体は無菌操作が不要であることと、保険請求はできず自費での扱い[1個約55円]になり経済的負担が増えるためです。

ラコールNF半固形剤の副作用

ラコールNF半固形剤は、食事摂取が困難で胃瘻を設置している方向けの栄養剤として、2014年に発売された薬です。

注意

ラコールNF半固形剤の副作用としては、下痢[17.9%]、ALT(GPT)増加[5.4%]、AST(GOT)増加[3.6%]、血中カリウム増加[3.6%]、血中ナトリウム減少[3.6%]、白血球数増加[3.6%]等が報告されています。

ラコールNF半固形剤の禁忌

  • 牛乳タンパクアレルギー
    [牛乳由来のカゼインが含まれているため、ショック、アナフィラキシー様症状を引き起こすことがあります。]
  • 胃の機能が残存していない患者[胃の貯留能、運動機能を使用します。]
  • イレウス[消化管の通過障害があります。]
  • 腸管の機能が残存していない患者[水、電解質、栄養素などが吸収されません。]
  • 高度の肝・腎障害[肝性昏睡、高窒素血症などを起こすおそれがあります。]
  • 重症糖尿病などの糖代謝異常[高血糖、高ケトン血症などを起こすおそれがあります。]
  • 先天性アミノ酸代謝異常
    [アシドーシス、嘔吐、意識障害などのアミノ酸代謝異常の症状が発現するおそれがあります。]

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