特発性血小板減少性紫斑病[ITP]の薬、レボレード[エルトロンボパグオラミン]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
レボレード[エルトロンボパグオラミン]:特発性血小板減少性紫斑病治療薬
レボレード[エルトロンボパグオラミン]は、特発性血小板減少性紫斑病[ITP]に使用される薬です。
あまり耳慣れないですが、特発性血小板減少性紫斑病とは、免疫の異常によって血小板少なくなり、出血しやすくなる自己免疫疾患です。
血小板の減少は、様々な原因があることから、特発性血小板減少性紫斑病は除外診断によって鑑別されます。
血小板が減少する病気の例
- 薬の副作用
- 感染症
- 巨赤芽球性貧血
- 再生不良性貧血
- 全身性エリテマトーデス
- 白血病
- 敗血症
- 悪性リンパ腫
血小板減少の原因がこういった疾患でなければ、特発性血小板減少性紫斑病[ITP]ではないかなと疑うのです。
特発性血小板減少性紫斑病[ITP]の治療方法
特発性血小板減少性紫斑病の治療方法は以下1-4のフローチャートに従います。
特発性血小板減少性紫斑病では、免疫系の異常が原因で起こりますが、なぜ免疫系に異常が生じるかはわかっていません。
しかし、中でも二次性ITPといってピロリ菌が原因となっていることがあります。
そのため、特発性血小板減少性紫斑病と診断された場合は、まずピロリ菌に感染していないか確かめます。
ピロリ菌に感染していた場合は、適切な除菌療法をすることで60%の患者で血小板の増加が認められます。
ステロイド製剤の免疫抑制作用により、血小板を破壊する自己抗体の産生を抑えます。
80%程度の患者さんに効果があるとされています。
ステロイドの量は、血小板数を見ながら2ヶ月くらいを目途に徐々に減らしていきます。
中にはステロイドを中止できる患者も10%程度いますが、糖尿病や感染症などの副作用によって離脱する場合もあります。
血小板を破壊する自己抗体は脾臓で産生されます。
そのため、脾臓を摘出することで自己抗体が作れなくなるのです。
血小板を作る細胞を刺激する薬が使用されます。
現在は、トロンボポエチンとよばれる受容体作動薬が使用されています。
レボレード[エルトロンボパグオラミン]の作用機序、特徴
特発性血小板減少性紫斑病[ITP]の原因は、免疫系の異常で血小板が破壊されることによります。
レボレードは、エルトロンボパグオラミンを成分とするトロンボポエチン受容体作動薬です。
トロンボポエチン[TPO]とは、血小板産生を調節する造血因子です。
巨核球や血小板表面にある”トロンボポエチン受容体[TPO-R]”に作用して、血小板産生を促します。
レボレードは、トロンボポエチン受容体に作用し、巨核球の分化・増殖を促進することで、血小板の産生量を増やします。
やっくん
レボレード[エルトロンボパグオラミン]は、トロンボポエチン受容体に作用することによって、血小板の産生量を増やします。
レボレードが空腹時投与の理由
レボレード[エルトロンボパグオラミン]は、服用方法に特徴があります。
レボレードは、食品や他の薬、サプリメントに含まれる多価陽イオンとキレート形成します。
多価陽イオンとは、鉄、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、セレン、亜鉛等です。
キレート形成により、レボレードが吸収されなくなるため、次のような服用間隔が必要となります。
- 食後2時間以上空けて
- 多価陽イオン薬やサプリメント服用から4時間以上空けて
レボレード[エルトロンボパグオラミン]の副作用
レボレード[エルトロンボパグオラミン]は、特発性血小板減少性紫斑病の治療薬として、2011年に発売された薬です。
レボレードの副作用としては、頭痛[11%]、ALT(GPT)増加[4%]、悪心[4%]、白内障[4%]、下痢[3%]等が報告されています。
レボレード[エルトロンボパグオラミン]の禁忌
- 特になし