去痰薬であるチスタニン[エチルシステイン]は、気道粘液溶解薬に分類されています。
今回は、チスタニン[エチルシステイン]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
チスタニン[エチルシステイン]:去痰薬
チスタニン[エチルシステイン]は、かぜや気管支炎時の去痰薬として使用される治療薬です。
痰は、基本的には異物を外に排出しようとして起こる生理現象です。
例えば、かぜを引いたとき、ウイルスが気道・気管支内に侵入します。[上図①]
気道内では、ウイルスを外に排出するための粘液が免疫反応によって生成されます。[上図②]
免疫反応によって、ウイルスを取り込んだ粘液=痰を生成するのです。[上図③]
チスタニン[エチルシステイン]の作用機序、特徴
痰は、異物を外に排出するため、ヒトにとって重要な生理現象です。
とはいえ、痰が溜まることで激しい咳を引き起こしたり、息苦しさ、また痰の詰まりで死に至ることもあります。
そのため、去痰薬が使用されるのです。
チスタニンは、痰中のジスルフィド結合[-S-S-]に作用する去痰薬です。
痰の構成成分は、水とムチンと呼ばれる粘液のもととなる糖タンパク質からなります。
ムチンの糖鎖は、ガラクトースやN-アセチルグルコサミン、フコース、シアル酸などからできており、硫酸基を持っているものもあります。
タンパク部分は、セリンやトレオニン、プロリンなどからできています。
これらが、グリコシド結合・ペプチド結合・ジスルフィド結合などによって糖タンパク質を形成し、粘液物質のムチンとして存在しています。
チスタニンは、-SH基を持っており、痰の粘度が高まるひとつの原因であるジスルフィド結合を開裂する作用を持っています。
やっくん
チスタニン[エチルシステイン]は、粘液物質ムチンを構成する結合のひとつジスルフィド結合を切り離すことで、痰の粘度を低下させ、痰症状を改善します。
チスタニン[エチルシステイン]の副作用
チスタニン[エチルシステイン]は、かぜや気管支炎時の去痰薬として、1969年に発売された古い薬です。
主な副作用としては、悪心・嘔吐[0.94%]、食欲不振[0.44%]などが挙げられます。
チスタニン[エチルシステイン]の禁忌
- 特になし