膵臓の消化酵素薬として使用されるリパクレオン[パンクレリパーゼ]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
リパクレオン[パンクレリパーゼ]:過敏性腸症候群治療薬
リパクレオン[パンクレリパーゼ]は、慢性膵炎や膵切除などによる膵消化酵素の補充を目的として使用されている薬です。
膵炎とは?
膵炎とは、膵臓の組織が障害されることで急激な腹痛を伴う疾患です。
膵臓の働きは、大きく2つに分かれ、外分泌機能と内分泌機能を持っています。
外分泌部では、消化に関与する膵液を十二指腸へ分泌します。
内分泌部では、インスリンやグルカゴンといった主に血糖値を調節するホルモンの分泌を行います。
膵液中には、糖質・脂質・タンパク質を分解する酵素を含んでいます。
糖質分解酵素 | アミラーゼ |
---|---|
脂質分解酵素 | リパーゼ |
タンパク質分解酵素 | トリプシン、キモトリプシン |
膵炎では、膵液中の酵素が過剰に産生され、膵臓やその周囲の組織までも消化してしまう自己消化を起こすことで急激な腹痛が起こるとされています。
また、産生した消化酵素を十二指腸に上手く送れなくなるため、特に脂肪の消化不良が起こり下痢を起こすことが知られています。
膵炎は、主に、飲酒によるアルコール性膵炎と胆石症による胆石性膵炎の2つに分類されます。
アルコール性急性膵炎は男性に、胆石性急性膵炎は女性に多く性差が認められています。
リパクレオン[パンクレリパーゼ]の作用機序、特徴
膵炎などによる膵臓機能の落ちた方[膵外分泌機能不全]では、以下のような消化不良性の下痢便[脂肪便]を生じることがあります。
- 臭いが強い
- 灰白色
- 便の量が多い
- 水に浮きバラバラになる
従来は、脂肪食を控えることによって膵臓の負担を軽減する方法が取られていました。
しかし、その分のカロリーをしっかりと補わなければならず、特にやせ型の人で問題になっていました。
最近では、脂肪食をわざわざ控えることなく摂取し、高力価の膵酵素製剤による治療が推奨されています。
リパクレオンは、膵臓で産生される消化酵素薬であり、従来のパンクレアチン製剤を改良した薬剤です。
リパクレオンの成分パンクレリパーゼは、リパーゼ・アミラーゼ・プロテアーゼと3つの消化酵素を含む製剤です。
これまでは、日局のパンクレアチンが膵臓の消化酵素で使用されていましたが、
- 胃酸で失活しやすい
- 力価が低く10g以上の服用が必要で患者に負担がかかる
などのデメリットがありました。
パンクレアチンを高力価にし、さらに周りをコーティングし胃酸の失活を防いだ薬がリパクレオンです。
やっくん
リパクレオン[パンクレリパーゼ]は、高力価の3つの膵消化酵素として働き、腸における消化・吸収の働きを助けます
リパクレオン[パンクレリパーゼ]の副作用
リパクレオン[パンクレリパーゼ]は、膵外分泌機能不全における膵消化酵素の補充を目的とし、2011年に発売された薬です。
主な副作用としては、便秘[4.7%]、下痢[4.7%]、発熱[4.0%]、腹部膨満[3.4%]、高血糖[3.4%]などが挙げられます。
リパクレオン[パンクレリパーゼ]の禁忌
- ブタ蛋白質に対し過敏症の既往歴のある患者