薬局薬剤師が他職種からどう思われているのか?医師や看護師に調査したアンケート結果をまとめてみました。
勤務医・開業医に医薬分業についてアンケート
2014年にm3.comさんが、約500名の医師会員に対し、医薬分業についてアンケートを行いました。
中でも興味深かった内容をここでは紹介します。
医薬分業について
「医薬分業を今以上に推進したい」=25%
⇒医師はあまり医薬分業に賛成していないようです。
「医薬分業はデメリットが大きい」=27%
- 調剤薬局に行く手間
- 医療費の増加
- ジェネリック医薬品へ変更時の確認
⇒これらが大きなデメリットとして挙げられています。
薬局の機能について
- 利益追求型の株式会社は医療にふさわしくない
- 調剤料が高すぎる
- 無駄な医療費が薬局の経営に費やされている
⇒医療費の削減が課題となっている今、薬局が儲けに走っている点が指摘されています。
薬剤師について
「現状以上に服薬管理に関与しなくて良い」=56.4%
- 関与すべきと考えるが、現状で薬剤名のみで服薬指導を行うのは限界があると思う
- 医療界が在宅中心に変わってきているので、外に出て指導すべき。
⇒処方箋の記載事項の変化[血液検査の結果や診断名]、薬局の在宅医療への関与が必須になるなど、少しずつ反映されてきているように感じます。
「現状以上に、薬剤師に身につけてほしい知識はない」=62%
- 飲み合わせによって起こり得る副作用
- 臨床治療に対する勉強が必要
- 予防医学
⇒医師の詳しくない分野を補い、医師と十分な話ができるよう臨床の知識が問われています。
「薬剤師に期待したい業務がない」=76%
- 服薬後の経過に関与してほしい[副作用の確認]
- 院外薬局とは意思疎通ができない
- 薬剤師の取るリスクと報酬がつりあっていない
- 臨床知識がないために、薬の知識だけに偏りがち。臨床は、薬剤、診察、治療、看護、介護と、地域の住民や住環境、医療環境の総合力だとの知識を教えるべきだと思う。
⇒ほとんどの医師は、薬剤師に期待することがないと答えています。
一方で、全てこれまで言われてきていることですが、副作用の確認や残薬の整理などをお願いしたいと考えている医師もいます。
医療政策について
- 長期収載先発医薬品の薬価が高すぎる
看護師が望む薬剤師の業務内容
訪問看護ステ―ションで勤務する看護師が、在宅の現場で薬剤師に何を望むかについて報告がありましたので一部紹介します。
回答数は55名と少ないながらも以下の結果が得られています。
利用者の薬の数を減らしてほしい | 78% |
薬の残薬整理 | 75% |
薬に関する勉強会の開催 | 64% |
カンファレンスへの参加 | 64% |
認知症薬の提案 | 55% |
吸引機などの医療機器の販売・レンタル カテーテルなどの医療材料、ガーゼなど衛生材料の販売 |
42% |
[榊原 幹夫:在宅薬学.2016,3,24-32]
このように薬剤師に望む業務はある一方で、8割の看護師は、薬剤師の地域医療への参加は出遅れていると感じているのが現状です。
勉強会の開催や認知症薬の提案など、受け身の態勢ではなく能動的に働きかけることが求められているのです。