認知症治療薬で多く発現する副作用を薬剤別にまとめています。
アリセプト[ドネペジル]の副作用:易怒性、徐脈、食欲低下、悪心、嘔吐
アリセプト[ドネペジル]の主な副作用としては、食欲減退[2.45%]、悪心[2.35%]、嘔気、嘔吐[1.25%]、下痢[1.18%]、激越[0.61%]、不眠[0.54%]などが挙げられます。
食欲低下や悪心・嘔吐が副作用として現れた場合、吐き気止めのナウゼリン[ドンペリドン]やタケプロン[ランソプラゾール]などのPPIを併用して内服することで多くは解消されます。
また、徐脈やQT延長によるtorsades de pointes[TdP]と呼ばれる不整脈によって失神や突然死のリスクがあるため、アリセプトなどコリンエステラーゼ阻害薬を服用中は循環器系の副作用にも注意しなければなりません。
レミニール[ガランタミン]の副作用:易怒性、徐脈、下痢、悪心、嘔吐
レミニール[ガランタミン]の主な副作用としては、悪心[14.9%]、嘔吐[12.4%]、食欲不振[8.3%]、下痢[6.2%]、食欲減退[5.4%]、頭痛[4.6%]などが挙げられます。
レミニールは他のコリンエステラーゼ阻害薬であるアリセプト[ドネペジル]やリバスタッチ[リバスチグミン]と比較して下痢を起こしにくいことが特徴です。
その一方で、悪心や嘔吐といった副作用はアリセプトやリバスタッチよりも頻度が高いため注意しなければなりません。
不眠や易怒性といった精神系の副作用については、ニコチン性Ach受容体に対するAPL[アロステリック活性化リガンド]作用によって起こりにくいと言った意見もありますが、現時点では他のAchE薬と同程度の割り合いであるとされています。
リバスタッチパッチ、イクセロンパッチ[リバスチグミン]の副作用:赤いかぶれ
リバスタッチパッチ、イクセロンパッチ[リバスチグミン]の主な副作用としては、適用部位紅斑[43.1%]、適用部位掻痒感[40.2%]、接触性皮膚炎[29.0%]、適用部位浮腫[13.9%]、嘔吐[9.0%]、悪心[8.7%]、適用部位皮膚剥脱[6.1%]及び食欲不振[5.6%]などが挙げられます。
リバスタッチ、イクセロンパッチは貼付剤であるため、血中濃度の急激な上昇がなく、消化器系の副作用がアリセプトやレミニールの1/3程度と言われています。
一方で、半分近くの方が貼付部位に赤いかぶれを生じてしまいます。
この赤いかぶれの予防法として次の3つが挙げられます。
- ヒルドイド[ヘパリン類似物質]の塗布
- フルメタローション[モメタゾンフランカルボン酸エステル]の塗布
- 貼付部位を毎日変える
フルメタ[モメタゾンフランカルボン酸エステル]効能、強さ、副作用
ヒルドイドとフルメタローションの使い方は、ヒルドイドは貼付部位のみでなく全身に塗布します。
フルメタローションは、リバスタッチパッチ貼付前に塗布し、翌日リバスタッチパッチを剥がした後にかぶれが見られる場合は再度フルメタローションを塗布します。
やっくん
これらを行うことで、9割以上の方にかぶれがなくリバスタッチパッチ、イクセロンパッチを使用することができるのです。
メマリー[メマンチン]の副作用:めまい、眠気、ふらつき
メマリー[メマンチン]の主な副作用としては、めまい[4.7%]、便秘[3.1%]、体重減少[2.2%]、頭痛[2.1%]などが挙げられます。
メマリーのようなNMDA受容体拮抗薬は、陰性症状を強める働きがあるため、眠気やふらつき、めまいなどの副作用が起こりやすくなります。
また、メマリーによる便秘のメカニズムははっきりとわかっていませんが、ラットにおいて腸管の輸送能が抑制されたという報告があります。