気管支喘息の治療薬として使用されるアズマネックス[モメタゾンフランカルボン酸エステル]は、ICS[吸入ステロイド]に分類されます。
今回は、アズマネックス[モメタゾンフランカルボン酸エステル]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
アズマネックス[モメタゾンフランカルボン酸エステル]:気管支喘息治療薬
アズマネックス[モメタゾンフランカルボン酸エステル]は気管支喘息に使用される治療薬です。
気管支喘息とは、気管支の慢性的な炎症による呼吸困難や咳・たん、ぜん鳴を伴う疾患です。
ぜん鳴とは、呼吸をした際にゼーゼー、ヒューヒューといった呼吸の音を指しています。
気管支喘息の原因
気管支喘息の原因は、さまざまです。
子供の場合は、ハウスダストや花粉といったアレルギーが原因と言われています。
一方、大人になってからの喘息は半分以上が原因を特定することができません。
タバコや大気汚染といったものから、運動やストレス、気温の変化とさまざまな環境変化によって誘発されます。
しかし、原因が何であれ、気管支の粘膜部分に炎症が起きていることが喘息発作の原因とされています。
アズマネックス[モメタゾンフランカルボン酸エステル]の作用機序、特徴
気管支喘息の原因は、さまざまです。
原因が特定できる場合は、原因に暴露されないよう環境を整えることが第一です。
それに加え、炎症を抑えるための薬=抗炎症薬や狭くなってしまった気管支を広げるための薬=気管支拡張薬が使用されるのです。
飲み薬ではなく、一般的には副作用軽減のために吸入薬が使用されます。
治療効果が不十分な場合は、系統の異なる薬を併用することが推奨されています。
アズマネックスは、吸入ステロイド[ICS]に分類される気管支喘息の治療薬です。
炎症や痛みが起こる仕組み
身体に何かしら傷害が起こると、リン脂質からホスホリパーゼA2の作用を受けてアラキドン酸が遊離されます。
アラキドン酸はシクロオキシゲナーゼの作用によりプロスタグランジンを、リポキシゲナーゼの作用によりロイコトリエンに変換され、それぞれ炎症や痛み、免疫反応を示すのです。
アズマネックスを含むステロイド薬は、ホスホリパーゼA2阻害作用のあるリポコルチンを誘導します。
誘導されたリポコルチンがホスホリパーゼA2の働きを阻害し、リン脂質からのアラキドン酸の遊離を阻害します。
その結果、炎症や痛みの原因となるプロスタグランジンやロイコトリエンが合成されないため、抗炎症作用を示すのです。
以上がアズマネックスの作用機序となります。
やっくん
アズマネックス[モメタゾンフランカルボン酸エステル]は、ホスホリパーゼA2阻害作用を示すことで、プロスタグランジン、ロイコトリエンの生成を阻害し、気管支の炎症を改善します。
アズマネックス[モメタゾンフランカルボン酸エステル]の特徴:ツイストヘラー採用で吸気速度低下患者でもOK
アズマネックス[モメタゾンフランカルボン酸エステル]は、ツイストヘラーというデバイスを採用しているため、流速28.3L/min以上の吸気速度で90%以上の薬剤が吸入できることが確認されています。
[MSD指導箋より引用]
28.3L/minという数値はブリーズヘラーやジャヌエア、ディスカス、タービュヘイラー、エリプタよりも低い値となります。
アズマネックス[モメタゾンフランカルボン酸エステル]の副作用
アズマネックス[モメタゾンフランカルボン酸エステル]は、気管支喘息の治療薬として、2007年に発売された薬です。
主な副作用としては、口腔カンジダ症[6.0%]、嗄声[5.7%]、咽喉頭症状(不快感、疼痛、乾燥、刺激感)[2.5%]が挙げられます。
主な臨床検査値の異常としては、コルチゾール減少[6.4%]、オステオカルシン減少[4.5%]、尿糖[1.1%]が挙げられます。
アズマネックス[モメタゾンフランカルボン酸エステル]の禁忌
- 有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症[症状を増悪するおそれがある。]
- 結核性疾患[症状を増悪するおそれがある。]