2015年の改正では、2025年に向けた地域包括ケアシステムの確立が目指すべきものかと思います。
一方で、介護保険の財源が限られていることから、より効率的な運用が改定内容から見て取れます。
財源を増やすために、高所得者の負担割合が2割になりました。
[厚生労働省:社会保障審議会資料より]
今後はたびたび話題になっている第2号保険者の年齢を40歳から引き下げることになるかもしれません。
2016年8月の社会保障審議会において、年齢の制限をなくしすべての社会人に介護保険へ加入する案も出ています。
また、現役並み所得者の負担割合も医療保険と同様3割に引き上げることや、低所得者の補足給付の対象に土地・家屋などの不動産も含めるべきか、預金額の把握にマイナンバーを活用してはどうかといった議論が2016年8月の社会保障審議会においても議論されています。
2018年8月より高所得者は介護保険割合が2割⇒3割へ引き上げられました。
今後は、各市町村の取組みにより、費用をかけず、いかに互助を取り入れるかが重要とされています。
2016年には、ニッポン一億総活躍プランが閣議決定され、育児から介護まで地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、福祉などの地域の公的サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる仕組みを構築することになりました。
[厚生労働省:社会保障審議会資料より]
要支援1-2、従来の1・2次予防事業が新しい統合事業へと移行しましたが、今後さらにその範囲を拡大し要介護1-2などの軽度者についても市町村ごとの独自事業として分離されるのではないかと思われます。
軽度者では身体介護はほとんど使用せず、生活援助を介護保険で使用する傾向にあります。
生活援助の部分は介護保険を使用せずとも、民間の家事代行サービスを使用することで解決するため、今後は軽度者の生活援助の部分に対して大幅な介護報酬の引き下げが検討されています。
特定看護師の誕生:医師の往診から訪問看護へ
介護にかかる点数が下がる一方で、訪問看護の点数が強化されています。
現場の医師も訪問看護の導入には積極的であり、訪問看護師との連携を強化したいと考えています。
これまでは薬剤師同様、医師の指示が無ければ看護師が処置や治療を行うことができませんでした。
それを受けて2015年に誕生したのが、「特定看護師」です。
実際には、「特定看護師」といった区分は存在せず「特定行為に係る研修を受けた看護師」といった扱いになりますが、当サイトでは特定看護師として扱います。
特定看護師が誕生したことで、
- 医師の指示がなくてもタイムリーな対応ができる
- 医師の往診回数が減り、負担が軽減される
- 医師が診れる患者の数が増える
が期待されています。
さらに、24時間対応や看取りなどを機能強化した「機能強化型訪問看護ステーション」という言葉も2015年から使われています。
訪問看護へのニーズが高まり、ショートステイやデイサービス、ホームヘルパーなどの介護との連携し「看護小規模多機能型居宅介護」へも加わっています。