肝臓は、老廃物や薬剤の分解・代謝に関わっています。
また、胆汁合成の場でもあります。
肝機能の指標となる検査値のひとつがアラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT]です。
今回は、血液検査値のひとつアラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT・GPT]の読み取り方について、薬の副作用との関連性を含め解説しています。
アラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT・GPT]とは?
アラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT・GPT]は、以前GPTとも呼ばれていましたが、最近は国際酵素委員会によって名称がALTに標準化されています。
MEMO
ALTは、肝臓にほぼ特異的に分布しており、VB6を補酵素とするアミノ基転移酵素です。
肝炎の経過を見るための指標によく使用されます。
セットで確認されるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ[AST]は肝臓以外にも分布する酵素です。
そのため、ASTは肝細胞が障害された場合だけでなく、心筋の疾患、運動時などに高値となります。
アラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT]の基準値は、男性10-42[U/L]、女性7-23[U/L]です。
[日本臨床検査協議会:共用基準範囲2014より]
ASTとALTは分布臓器や半減期が異なるため、ASTとALTの量を比べることで疾患の鑑別に使われます。
AST>ALT | ALT>AST |
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急性肝炎の初期、アルコール性肝障害、肝硬変、肝がん | 極期を過ぎた急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝 |
溶血性貧血、急性心筋梗塞、骨格筋障害 |
[参考:検査値×処方箋の読み方 他]
アラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT・GPT]と関連する薬剤性の副作用
肝機能障害を来たす薬剤は多く知られています。
また、プロポリス・クロレラ・ウコンなど健康食品やサプリメントなどにも注意が必要です。
ALT高値を起こす薬剤 | |
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抗結核薬 | イソニアジド、リファンピシン |
解熱鎮痛薬 | アセトアミノフェン |
免疫抑制薬 | メトトレキサート |
マクロライド系抗菌薬 | エリスロマイシン |
ACE阻害薬 | エナラプリル |
ALT低値を起こす薬剤 | |
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抗リウマチ薬 | ペニシラミン |
[参考:検査値×処方箋の読み方 他]