脳循環障害の治療薬として使用されるケタス[イブジラスト]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
ケタス[イブジラスト]:めまい治療薬
ケタス[イブジラスト]は、脳循環障害の改善に使用される治療薬です。
脳循環障害によってめまいが起こることがあります。
めまいの種類は、
- 周りや自分が回転する回転性めまい
- 身体がフワフワした感じの動揺性めまい
- 突然ふらつく突発性めまい
にわかれます。
めまいの原因は、耳や脳、血圧の変動など3つのタイプに分かれます。
耳石が三半規管に入ってしまったり[良性発作性頭位]、内耳中の液体=内リンパ液が増え耳を圧迫したり[メニエール病]、平衡感覚を脳へ伝える前庭神経に炎症が起こる[前庭神経炎]ことなどが原因です。
脳梗塞や脳出血、脳と首の間の椎骨動脈の循環不全、前庭神経や脳の腫瘍が原因です。
座っている状態から立ち上がる際に起こる起立性低血圧が原因です。
ケタス[イブジラスト]の作用機序、特徴
めまいは、耳と脳の間の伝達に何かしら異常が生じ起こります。
この異常は、耳石や内リンパの増加、血液循環不全などによって起こります。
めまいの治療薬の中で、脳に対して作用する薬のひとつがケタスです。
ケタスの有効成分であるイブジラストは、ホスホジエステラーゼの阻害作用を持っています。
血管内皮細胞から産生されたPGI2やNOは、それぞれアデニル酸シクラーゼ、グアニル酸シクラーゼを活性化します。
アデニル酸シクラーゼはATPからcAMP、グアニル酸シクラーゼはGTPからcGMPを生成する際に必要な酵素です。
その後、cAMP・cGMPは、ホスホジエステラーゼの作用によって5’-AMP、5’-GMPへと分解されてしまいます。
ケタスは、ホスホジエステラーゼ阻害作用により、cAMPやcGMPの分解を阻害し、血管拡張、抗血小板、抗炎症、細胞保護、接着分子抑制、気管平滑筋弛緩、気道過敏抑制等さまざまな作用を示します。
やっくん
ケタス[イブジラスト]は、ホスホジエステラーゼを阻害し、脳の血流を改善することで、めまい症状を緩和します。
また、ケタスはケミカルメディエーターの遊離抑制作用も持っているため、花粉症や気管支喘息といったアレルギー症状の改善薬としても使用されています。
ケタス[イブジラスト]の副作用
ケタス[イブジラスト]は、脳梗塞後遺症に伴う慢性脳循環障害によるめまいの改善薬として、1989年に発売された薬です。
主な副作用としては、食欲不振[0.58%]、嘔気[0.56%]、AST(GOT)上昇[0.30%]、ALT(GPT)上昇[0.35%]、γ‐GTP上昇[0.36%]などが報告されています。
ケタス[イブジラスト]の禁忌
- 頭蓋内出血後、止血が完成していないと考えられる患者
[止血の完成を遅らせるおそれがあります。]