腎臓は、尿を生成することで老廃物や薬剤の分解・排泄に関わっています。
また、血圧の調節やエリスロポエチン・VDの生成にも関わっています。
このページでは、血液検査値のひとつ、推定糸球体濾過量[eGFR]の読み取り方を薬の副作用との関連性を含め解説しています。
クレアチニンとは?
腎機能の指標として使われるのがクレアチニン[Cr、CRE]です。
クレアチニンは、筋収縮のエネルギー源であるクレアチンの最終代謝産物です。
そのため筋肉量の多い男性では高値を示し、女性や高齢者では低くなる傾向があります。
クレアチニンが腎機能の指標となる理由
腎臓の機能の一つが血液のろ過による尿の生成です。
血液をろ過した際にできる原尿は、尿細管などで再吸収や分泌を受けるため、最終的に尿として生成されるのはわずか1%程度と言われています。
クレアチニンは、腎臓において再吸収・分泌を受けないため、腎機能が正常であればろ過されたもの全て尿中へ排泄されます。
一方で、腎機能が低下した状態では、ろ過される量が少なくなるため、血液中にとどまり血清クレアチニンが高くなるのです。
そのため、血中のクレアチニン濃度が腎臓においてどのくらいろ過されたかを知る指標となるのです。
eGFRとは?
このクレアチニン値と、年齢、性別を使って導き出されるのがeGFR=推定糸球体濾過量です。
本来であれば実測値であるGFRを測定できればいいんですが、測定するのが難しいためクレアチニン濃度から推定するのが一般的です
eGFRは次の計算式により推定されます。
eGFR=194×血清Cr-1.094×年齢-0.287[女性は×0.379]
推定糸球体濾過量[eGFR]の基準値は、90-110[mL/分/1.73㎡]です。
[日本臨床検査協議会:共用基準範囲2014より]
eGFRは、身長170cm、体重63kgの体型に補正した値であるため、やせ型の人の場合数値が大きくなってしまいます。
そのため、体格による補正を行う場合、次の計算式も使用されます。
体表面積補正eGFR=eGFR×体重kg0.425×身長cm0.725×7184×10-6/1.73
これらによって得られたeGFR値が、慢性腎臓病[CKD]分類にも使用されます。
推定糸球体濾過量[eGFR]と関連する薬剤性の副作用
推定糸球体濾過量[eGFR]は、クレアチニンの値によって変動するためクレアチニンと同様の薬剤に注意します。
主に、近位尿細管における分泌を阻害する薬が挙げられます。
eGFR低値を起こす薬剤 | |
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シメチジン、ファモチジン、ベンズブロマロン、スピロノラクトン、ST合剤 |
[参考:検査値×処方箋の読み方 他]