漢方薬は、西洋薬と異なり昔から使用されてきた薬なので、承認上は食後投与が認められていません。
患者コンプライアンスにも影響するため、食前・食後投与における効果の違いを紹介します。
漢方薬の飲み方:食前または食間の服用
漢方薬を投薬・服薬指導するときによく直面する問題が、漢方薬の飲み方です。
全ての漢方薬は、「食前または食間の服用」といった飲み方で申請・承認されているため、添付文書上は「食前又は食間に経口投与する」と記載されています。
この理由は、これまでの長い漢方薬の歴史・経験によるもの、および、自然由来の生薬を使用しているためと言われています。
自然由来の生薬を使用していることから、食後に服用すると吸収時に影響を受けやすいのです。
そのため、漢方薬が“食後”で処方されている場合は、面倒ですが疑義照会が必要となるのです。
漢方薬は食後に服用すると効果が落ちる?
先ほど、漢方薬が食後で処方されていたら疑義照会をすると言いましたが、実際はほとんど保険で切られることはありません。
なぜなら、実際は食後で服用することの方が多いからです。
ほとんどの薬が食後で服用される理由は、飲み忘れ防止のためであり、食前や食間投与の漢方薬は飲み忘れが多い薬です。
特に在宅の現場では、食後2時間後の食間に飲んでもらうのは大変です。
そのため、口頭では食後に飲んでもいいですよとお伝えするケースがほとんどなのです。
では、食後に服用すると本当に効果は落ちるんでしょうか?
漢方薬メーカーのツムラは食後投与について、書面では次のように記しています。
「胃腸が弱い場合や食欲がない場合は、食後服用することもある」
「自然由来の生薬を使用していることから、食後に服用すると吸収時に影響を受けやすいのです」
書面では、効果の違いについては上記のような書き方でしか載ってないんですね。
逆を取れば、食前の方が食後より効果が高いといった根拠もないのです。
ツムラのMRさんによると、口頭では食後投与でも食前・食間投与でも漢方薬の効果に違いはないと説明しています。
やっくん
承認を取り直すことは難しいと思いますが、今後は漢方薬=食後でもOKといった流れが浸透していくと考えられます。
漢方薬を飲めない場合の工夫
薬を飲む場合、先に薬を口に含んでから水を飲むことが多いでしょう!
漢方薬は独特な味とザラザラ感から、先に水や白湯を口に含んだ方が飲みやすいと言われています。
また、オブラートやゼリー、ヨーグルト、全粥と一緒に服薬することも可能です。
分3製剤よりも分2製剤の方が服薬コンプライアンスが良い
漢方薬に限ったことではないですが、お昼に服用する薬はどうしても飲み忘れが多いことがわかってます。
実際に投薬していても、お昼はどうしても忘れてしまう人が多いですね。
漢方薬では、分3製剤だけではなく分2製剤も発売されていますので、クラシエさんの発表データを紹介します。
外来患者109名に対し分2製剤、分3製剤を服用してもらった際のアンケート結果
- 分2から分3服用回数が増えることに49.1%が不満
- 分3で服用した場合、飲み忘れの87.5%が昼
- 分2製剤の方が飲みやすいと回答したのは86.2%
[医学と薬学 66(1):112-122,2011]