ナトリウムは、細胞外に存在する陽イオンの代表です。
浸透圧によって血液量や体液量を調節します。
血中ナトリウムが多いと血液内の水分量が浸透圧によって多くなります。
浮腫が生じるため、ナトリウムを外に出そうとします。
水分量が多い場合、心房性ナトリウム利尿ペプチド[ANP]、脳性ナトリウム利尿ペプチド[BNP]が働き、水分量が少ない場合、アルドステロン、抗利尿ホルモンなどのホルモンが働くことで調整されています。
このページでは、血液検査値のひとつ、ナトリウム[Na]の読み取り方を薬の副作用との関連性を含め解説しています。
ナトリウムと食品
ナトリウムは食品中に多く含まれ、調味料の塩分だけではなく加工食品にも多く含まれます。
調味料に含まれるナトリウム
大さじ1杯あたり | 大さじ1杯あたり | 適量で100mLに調整時 | |||
濃口しょうゆ | 2.6g | バター | 0.2g | 削りがつお | 0.1g |
薄口しょうゆ | 2.9g | マヨネーズ | 0.3g | 昆布 | 0.2g |
減塩しょうゆ | 1.4g | トマトケチャップ | 0.5g | 和風だしの素(顆粒) | 0.2g |
麺つゆ (ストレート) |
0.5g | 練り辛子 | 1.2g | 鶏ガラスープの素 (顆粒) |
0.7g |
赤みそ | 2.2g | ウスターソース | 1.5g | 固形スープの素 | 0.8g |
白みそ | 1.1g | とんかつソース | 1.0g | ||
みりん | 0.0g | 焼肉のたれ | 1.0g | ||
日本酒 | 0.0g | ||||
料理酒 | 0.3g |
加工食品に含まれるナトリウム
ロースハム (薄切り1枚) | 0.4g | ごはん (1杯130g) | 0.0g |
ウインナーソーセージ(1本) | 0.5g | 食パン (6枚切り1枚) | 0.8g |
プロセスチーズ(1個20g) | 0.6g | うどん(乾麺100gをゆでた場合) | 1.5g |
梅干し (1個) | 2.2g | そば(乾麺100gをゆでた場合) | 0.3g |
塩ザケ (中辛1切れ) | 1.1g | そうめん(乾麺100gをゆでた場合) | 0.9g |
魚の干物 (アジ1枚) | 1.4g | カレールウ | 2.3g |
焼きちくわ (中サイズ) | 0.7g | シチュールウ | 1.8g |
たらこ (2分の1腹) | 1.4g | ||
イクラ (大さじ1) | 0.6g |
日本人の食事摂取基準[2015年版]では、ナトリウム目標量が男性8g/日・女性7g/日と定められていますが、摂り過ぎが問題視されています。
血清ナトリウム[Na]の基準値は、138-145mmol/Lです。
[日本臨床検査協議会:共用基準範囲2014より]
高ナトリウム血症の原因
高ナトリウム血症は、脱水状態や高塩分の食事によって引き起こされます。
ただし、のどの渇きによって血中ナトリウムを薄めようと働くため、一過性の場合がほとんどです。
低ナトリウム血症
低ナトリウム血症は、血清ナトリウム値がどのように減少したかで次の2つに分類分けされます。
真性低ナトリウム血症
血中ナトリウムの絶対量が減少した場合の低ナトリウム血症を指します。
真性低ナトリウム血症の原因疾患としては、アジソン病、ネフローゼ症候群や腎不全などが挙げられます。
真性低ナトリウム血症の原因薬剤
- 利尿薬[ラシックス、ダイアート、アルダクトン、フルイトランなど]
- NSAIDs
- ゲンタマイシン
偽性低ナトリウム血症
血中ナトリウムの相対量が減少した場合の低ナトリウム血症を指します。
相対的に血中ナトリウム量が減るとは、血中のタンパク質濃度や脂質濃度が高くなることによって、浸透圧減少のためにナトリウムが薄くなることを意味します。
骨髄腫やマクログロブリン血症、脂質異常症などが原因となります。