C型肝炎常の治療薬、スンベプラ[アスナプレビル]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
スンベプラ[アスナプレビル]:C型肝炎治療薬
スンベプラ[アスナプレビル]は、C型肝炎の治療に使用される治療薬です。
C型肝炎とは?
C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス[HCV]が主に血液を介して感染する肝臓の疾患です。
B型肝炎と同様、医療現場における針刺し事故や予防接種時の注射器の使いまわし、性的接触が主な原因とされています。
HCVに感染すると、治癒する場合もありますが、治療を行わない場合20~30%が肝硬変、肝臓がん、死亡などの経過をたどるとされています。
HCVの予防には、消毒が行われます。
HCVが含まれている可能性のある血液、体液は消毒しなければなりません。
HCVはHBV同様エンベロープを持つウイルスであるため、中水準以上の消毒薬である消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムが効果的です。
スンベプラ[アスナプレビル]の作用機序、特徴
C型肝炎の治療では、その原因となるC型肝炎ウイルス[HCV]の増殖を抑制する薬が使用されます。
インターフェロン製剤のように免疫系に作用する薬が使用されてきましたが、ウイルスに直接作用するわけではないため、十分な効果が得られない場合もありました。
スンベプラは、HCVの複製過程を直接阻害するC型肝炎の治療薬です。
スンベプラは、ダクルインザ[ダクラタスビル]と併用することでHCVの増殖を防ぐ薬です。
スンベプラは、HCVの複製過程で必須の蛋白である非構造蛋白の機能を阻害します。
ウイルス蛋白は、上記のようにウイルス粒子を形成する構造蛋白と、ウイルスの複製過程に作用するがウイルスには取り込まれない非構造蛋白に分かれます。
非構造蛋白は、NS2・NS3・NS4A・NS4B・NS5A・NS5Bが各々切断後、HCV複製複合体を形成し、ウイルスの複製に関与しています。
スンベプラは、このうちのNS3・NS4A(NS3/4A)のプロテアーゼ[HCV NS3-4Aセリンプロテアーゼ]に作用し、NS3・NS4Aの構造蛋白からの切断を阻害し、HCVの複製を阻害します。
やっくん
スンベプラ[アスナプレビル]は、ウイルスの複製過程で必須の蛋白質である非構造蛋白NS3・NS4A(NS3/4A)の切断酵素に作用することで、HCVの複製・増殖を阻害します。
スンベプラ[アスナプレビル]の副作用
スンベプラ[アスナプレビル]は、C型肝炎の治療薬として、2014年に承認された薬です。
主な副作用としては、ダクルインザ[ダクラタスビル]と併用した場合、ALT(GPT)増加[17.4%]、AST(GOT)増加[14.4%]、頭痛[11.4%]、発熱[10.1%]などが知られています。
また、ウイルス性肝疾患の治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、適切な患者に対してのみ投与することと警告されています。
スンベプラ[アスナプレビル]の禁忌
- 中等度以上(Child-Pugh 分類B 又はC)の肝機能障害又は非代償性肝疾患
[本剤の血中濃度が上昇します。] - イトリゾール[イトラコナゾール]
- ジフルカン[フルコナゾール]
- プロジフ[ホスフルコナゾール]
- ブイフェンド[ボリコナゾール]
- フロリード[ミコナゾール]
- クラリス[クラリスロマイシン]
- エリスロシン[エリスロマイシン]
- ヘルベッサー[ジルチアゼム]
- ワソラン[ベラパミル塩酸塩]
- スタリビルド[コビシスタット]
- ノービア[リトナビル]
- レイアタッツ[アタザナビル硫酸塩]
- クリキシバン[インジナビル硫酸塩エタノール付加物]
- インビラーゼ[サキナビルメシル酸塩]
- プリジスタ[ダルナビルエタノール付加物]
- ビラセプト[ネルフィナビルメシル酸塩]
- レクシヴァ[ホスアンプレナビルカルシウム水和物]
- カレトラ[ロピナビル/リトナビル]
- リファジン[リファンピシン]
- ミコブティン[リファブチン]
- アレビアチン[フェニトイン]
- テグレトール[カルバマゼピン]
- フェノバール[フェノバルビタール]
- デカドロン[デキサメタゾン]
- モディオダール[モダフィニル]
- ストックリン[エファビレンツ]
- インテレンス[エトラビリン]
- ビラミューン[ネビラピン]
- トラクリア[ボセンタン]
- セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
- サンディミュン[シクロスポリン]
- タンボコール[フレカイニド]
- プロノン[プロパフェノン]