注意欠陥/多動性障害[ADHD]の治療薬として使用される薬のひとつがストラテラ[アトモキセチン]です。
このページでは、ストラテラ[アトモキセチン]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
ストラテラ[アトモキセチン]:注意欠陥/多動性障害[ADHD]治療薬
ストラテラ[アトモキセチン]は、注意欠陥/多動性障害[ADHD]の治療薬として使用されています。
ADHDの症状というのは、次の3つが代表的です。
- 多動性[例.落ち着きがない]
- 衝動性[例.思ったことを口にする]
- 不注意[例.約束を守れず、忘れっぽい]
子供だけではなく、子供のころから症状があり大人になっても改善しない場合もあるのです。
このADHDの原因は、はっきりとはわかっていませんが、脳内の神経系伝達物質である、ノルアドレナリン・ドパミンの放出不足が関係しているのでは?とされています。
ストラテラ[アトモキセチン]の作用機序、特徴
注意欠陥/多動性障害[ADHD]は上述の通り、ノルアドレナリンやドパミンの量が減っていることが原因と考えられています。
そのため、ADHDの治療薬は、脳内のノルアドレナリンやドパミンを増加させる作用のある薬が使用されます。
脳内で一度分泌されたノルアドレナリンはアドレナリン受容体に結合します。
しかし、一時的に受容体が埋まっていたりすると、再利用するためにもう一度神経細胞に取り込まれます。
これをノルアドレナリンの再取り込みといいます。
ストラテラは、神経伝達物質であるノルアドレナリンの再取り込みを阻害する薬です。
ノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで、アドレナリン受容体へ結合するよう作用するのです。
やっくん
ストラテラ[アトモキセチン]は、ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害することで、脳内で不足しているノルアドレナリンを補い、注意欠陥/多動性症状を改善します。
ストラテラとコンサータの違い:AD/HD治療薬
AD/HDの治療では、コンサータとストラテラが一般的に使用されます。
コンサータ[メチルフェニデート]作用機序、特徴:注意欠陥多動性障害治療薬
コンサータとストラテラの違いを表にまとめてみました。
コンサータ | ストラテラ | |
---|---|---|
一般名 | メチルフェニデート | アトモキセチン |
依存性 | あり:中枢性[脳全体] | なし:非中枢性[脳の前頭前野のみ] |
作用 | 主にドパミンの作用増強 | 主にノルアドレナリンの作用増強 |
効果発現 | ドパミン遊離促進作用もあり速い [投与日より] |
時間がかかる [2週間以上経って効果発現] |
用法 | 1日1回 | 1日1~2回 |
AD/HDの治療では、まずはコンサータ、ストラテラいずれか単剤で治療を始めます。
単剤で効果不十分の場合は、2剤を併用することもあるようです。
[参考:注意欠陥多動性障害の現状と治療について – ラジオNIKKEI・medical,http://qq1q.biz/p0FY]
ストラテラ[アトモキセチン]の副作用
ストラテラ[アトモキセチン]は、注意欠陥/多動性障害[AD/HD]の治療薬として、2009年に販売された薬です。
代表的な副作用としては、悪心[46.9%]、食欲減退[20.9%]、傾眠[16.6%]、口渇[13.8%]、頭痛[10.5%]などが挙げられます。
ストラテラ[アトモキセチン]の禁忌
- エフピー(セレギリン)、アジレクト(ラサギリン)[MAO阻害剤]を投与中あるいは投与中止後2週間以内
[発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれるおそれがあります。] - 重篤な心血管障害[血圧又は心拍数を上昇させ、症状を悪化させるおそれがあります。]
- 褐色細胞腫又はその既往歴[急激な血圧上昇及び心拍数増加の報告があります。]
- 閉塞隅角緑内障[散瞳があらわれることがあります。]