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プロトピック[タクロリムス]作用機序、特徴、副作用

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角化性皮膚疾患イラスト

アトピー性皮膚炎の治療薬、プロトピック[タクロリムス]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。

プロトピック[タクロリムス]:免疫抑制薬

プロトピック[タクロリムス]は、アトピー性皮膚炎の治療に使用される薬です。

アトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎とは、皮膚の中の水分を正常に保つセラミドが減少し、水分の保持が難しくなりアレルゲンが体内に入りやすい状態になっています。

アトピー皮膚状態

アトピー性皮膚炎の原因は、ダニやほこりなどのハウスダストや乾燥、ストレスなど様々な環境が影響しています。

アトピー性皮膚炎は、次の3つの症状を生じます。

  • 皮膚バリア機能の破たん
  • アレルゲンの侵入
  • 炎症・かゆみ

それぞれの症状を改善するために、アトピー性皮膚炎の治療では、次の3つが基本となります。

  • スキンケア
  • アレルゲンの特定、侵入阻止
  • 薬物療法

アトピー性皮膚炎治療

プロトピック[タクロリムス]の作用機序

アトピー性皮膚炎の治療のひとつが薬物療法です。

外部からのアレルゲンや異物が侵入し、ヒスタミンが放出されるとかゆみを、ヘルパーT細胞によって免疫反応が起こると炎症を生じます。

アトピー性皮膚炎の炎症を抑える外用薬としては、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏が使用されます。

MEMO

プロトピックは、タクロリムスを有効成分とする免疫抑制薬です。

免疫反応は、以下の図のような流れで行われます。

免疫反応

  1. 抗原提示細胞であるマクロファージや樹状細胞がヘルパーT細胞に情報を伝えます。
  2. ヘルパーT細胞はB細胞を活性化し、抗体を産生します。
  3. また、キラーT細胞の活性化により、直接細胞を攻撃します。

プロトピックは、ヘルパーT細胞に作用し、免疫反応を誘導するサイトカインの合成・分泌を抑制します。

具体的な作用機序は、ヘルパーT細胞内のFKBPと呼ばれるタクロリムス結合蛋白に結合します。

FKBPは脱リン酸化酵素であるカルシニューリンを阻害し、T細胞活性化因子の働きを抑制します。

これにより、インターロイキン[IL-2、IL-5、IL-6]などのサイトカインの合成・分泌を抑制し、過剰な免疫反応を抑制するのです。

プロトピックは、H1受容体をブロックすることで、局所症状を抑制します。

プロトピック作用機序

やっくん

プロトピック[タクロリムス]は、カルシニューリンを阻害し、サイトカインの合成・分泌を抑制することで、ヘルパーT細胞から他の免疫系への情報伝達を抑制し、アレルギー症状・かゆみを改善します。

プロトピック[タクロリムス]の特徴:ステロイドとの使い分け、違い

プロトピックとステロイドはいずれも炎症性サイトカインの抑制に働きますが、その作用機序・強さが異なります。

ステロイドはその効果によって5段階に分類分けされます。

  1. ストロンゲスト
  2. ベリーストロング
  3. ストロング
  4. ミディアム
  5. ウィーク

プロトピックは、この5段階の分類ではストロングクラスのステロイド外用薬と同等の強さを持つと考えられています。

また、プロトピックの有効成分であるタクロリムスは分子量が822.03と非常に大きい物質です。

正常な皮膚はきめ細かい細胞で覆われているため薬剤が浸透・透過しにくく、アトピー性皮膚炎の肌が荒れた状態では皮膚内に浸透・透過し薬効を発揮することが特徴です。

プロトピック分子量特徴

以上のことから、体や四肢といった分厚い皮膚、炎症の強い部位には強めのステロイド薬が使われ、ステロイド薬で効果が乏しい場合やなど強いステロイド薬が使用できない場合にプロトピックを使用します。

プロトピック[タクロリムス]の塗り方、使い方の注意点

プロトピック軟膏はチューブが一般的な塗り薬より小さいため、人差し指までの1FTU[約2.5cm=0.25g]が手のひら1枚分に相当します。

1日塗布量が5gを超えると、体内への吸収量が無視できなくなるため、塗布量に注意が必要です。

プロトピック塗布量

その他、プロトピック軟膏の注意点は主に2つです。

プロトピック軟膏の注意点①

1つ目は、年齢による使い分けです。

0.1%製剤は成人用であり、16歳以上が対象となります。
2歳以上16歳未満には0.03%%製剤が使用されます。

プロトピック小児成人

[写真はメーカーサイトより]

2歳未満には安全性が確認できていないため禁忌とされています。

プロトピック軟膏の注意点②

2つ目は、ほとんどの患者さんで刺激感が出る点です。

塗布後間もなくほてり感やヒリヒリ感、かゆみが生じますが、1週間程度で治まります。

長期的に続く場合は、使用を中止し主治医の判断を仰ぎましょう!

プロトピック[タクロリムス]の副作用

プロトピック[タクロリムス]は、アトピー性皮膚炎の治療薬として、1999年に発売された比較的古い薬です。

注意

プロトピックの主な副作用としては、疼痛[13.9%]、熱感[11.8%]、そう痒感[3.4%]、ざ瘡[2.2%]、毛嚢炎[1.3%]、カポジ水痘様発疹症[1.2%]、単純疱疹[1.2%]などが挙げられます。

プロトピックは、マウスに長期間塗り続けることで、リンパ腫というがんが増加したという報告されています。

マウスの皮膚は薄く薬剤を吸収しやすいためと考えられており、ヒトに対しては問題ないと考えられていますが、患者さんの理解が必要であると警告されています。

プロトピック[タクロリムス]の禁忌

  • 潰瘍、明らかに局面を形成している糜爛
  • 高度の腎障害、高度の高カリウム血症
    [腎障害、高カリウム血症が増悪する可能性があります。]
  • 魚鱗癬様紅皮症を呈する疾患(Netherton症候群等)
    [経皮吸収が高く、本剤の血中濃度が高くなり、腎障害等の副作用が発現する可能性があります。]
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
  • 小児[小児は小児用を使用、2歳未満は安全性が確立していません。]
  • PUVA療法等の紫外線療法を実施中の患者

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