口腔乾燥の治療薬、フェルビテン[アネトールトリチオン]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
フェルビテン[アネトールトリチオン]:シェ―グレン症候群治療薬
フェルビテン[アネトールトリチオン]は、シェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状に使用される治療薬です。
シェーグレン症候群は、関節リウマチ患者で多く約20%に発症することが知られています。
関節リウマチとは?
関節リウマチとは、身体の免疫反応が異常を起こすことで、自分自身の細胞を攻撃してしまう疾患です。
これを自己免疫疾患と言います。
なぜ免疫反応が異常を起こすかは、はっきりとはわかっていません。
関節リウマチの患者の多くは、血液検査においてリウマトイド因子・抗CCP抗体・赤沈などの値が高いことが知られています。
◆朝のこわばり:
朝起きたときに、手足が固まって動きにくくなります。
◆手や足の関節の腫れ:
特に小関節からはじまります。
◆皮下結節[リウマトイド結節]:
ひじやひざの関節に大きいこぶのようなものができます。
シェ―グレン症候群とは?
シェ―グレン症候群も関節リウマチと同様自己免疫性疾患です。
主に涙腺や唾液腺が、何らかの原因で破壊され炎症を起こします。
根本的な関節リウマチ同様わかっていません。
- ドライアイ:
涙腺の破壊により、目の乾燥が起こります。 - ドライマウス:
唾液腺の破壊により、口の乾燥が起こります。 - 唾液腺の腫れ:
唾液腺が破壊され、慢性的な炎症症状が起こります。
フェルビテン[アネトールトリチオン]の作用機序、特徴
シェ―グレン症候群は、自己免疫疾患であり、根本的に治療する方法はありません。
そのため、対症療法として点眼薬や唾液の分泌促進薬が使用されます。
フェルビテンは、アネトールトリチオンを成分とするシェ―グレン症候群治療薬です。
フェルビテンは、唾液腺において2つの働きを示します。
- ムスカリン性アセチルコリン[M3]受容体に高い親和性を示します。
- ホスホリパーゼCの活性亢進作用を示します。
これら2つの作用により、フェルビテンは、副交感神経を亢進することによって唾液分泌を促進するのです。
抗コリン薬によって口腔内乾燥の副作用が起こることは、このためでもあります。
やっくん
フェルビテン[アネトールトリチオン]は、唾液腺におけるムスカリン性アセチルコリン受容体および、ホスホリパーゼCに作用することで、シェーグレン症候群に伴う乾燥症状を緩和します。
フェルビテン[アネトールトリチオン]の副作用
フェルビテン[アネトールトリチオン]は、利胆薬として、1966年に発売された薬です。
シェーグレン症候群の適応については、1994年に適応が追加されています。
主な副作用としては、鼓腸放屁[6.12%]、下痢[2.01%]などが知られています。
フェルビテン[アネトールトリチオン]の禁忌
- 完全胆道閉塞[本剤の利胆作用により、胆管内圧が上昇します。]
- 急性期の肝・胆道疾患[肝細胞及び胆道に負担をかけ症状を悪化するおそれがあります。]
- 重篤な肝障害[肝細胞及び胆道に負担をかけ症状を悪化するおそれがあります。]