脂質異常症治療薬、シンレスタール[プロブコール]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
シンレスタール[プロブコール]:脂質異常症[高脂血症]治療薬
シンレスタール[プロブコール]は脂質異常症[高脂血症]の治療に使用される治療薬です。
脂質異常症は、糖尿病や高血圧と同様に、メタボリックシンドロームの診断基準に加えられる生活習慣病です。
血液中のLDL-コレステロール[悪玉コレステロール]やトリグリセリド[中性脂肪]が多かったり、HDL-コレステロール[善玉コレステロール]が少なくなっている状態を指します。
これらは、特に自覚症状がありませんが、主に血管が硬くなることで動脈硬化を引き起こしたり、血管の損傷や詰まりが起こりやすくなります。
そのため、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、脳出血などの血管に関連する疾患のリスクを高めるのです。
脂質異常症[高脂血症]の原因
脂質異常症は、生活習慣病と言われることから、その原因は食事と運動です。
食事では、脂のイメージが高い肉類だけでなく、ご飯やパン、スイーツなどの糖質も原因のひとつです。
なぜなら、必要以上の糖質は体内の脂肪合成に使用されるからです。
また、運動はカロリーの消費のみでなく、悪玉LDL-コレステロールを減らし、善玉HDL-コレステロールを増やす働きがあります。
シンレスタール[プロブコール]の作用機序、特徴
脂質異常症の患者は、その原因である食事の改善や適度な運動が推奨されています。
それでも、十分にコレステロールや中性脂肪の数値が改善しない場合に、薬を服用します。
シンレスタールは、肝臓中のコレステロールから胆汁酸を合成する過程を促進し、腸管へ分泌・排泄することで、脂質異常症の治療薬として使用されます。
胆汁酸の排泄により、血中のコレステロールが肝臓に多く取り込まれ、肝臓におけるコレステロールの胆汁酸への異化が促進されるのです。
やっくん
シンレスタール[プロブコール]は、肝臓におけるコレステロールの胆汁酸への異化を促進し、胆汁酸として排泄することで、血中のコレステロールを低下させます。
シンレスタール[プロブコール]の副作用
シンレスタール[プロブコール]は、脂質異常症の治療薬として、1985年に発売された薬です。
主な副作用としては、下痢[0.5%]、腹痛[0.2%]、嘔気[0.2%]、食欲不振[0.2%]等の消化器症状、発疹[0.3%]、そう痒[0.2%]などが報告されています。
シンレスタールではHDL-コレステロールの低下に注意
HDL-コレステロールは善玉コレステロールと言われ、末梢組織から肝臓へコレステロールを運びます。
一方、LDL-コレステロールは悪玉コレステロールと言われ、肝臓から末梢組織へコレステロールを運びます。
シンレスタールは、全てのコレステロールの排泄を促進するため、LDL-コレステロールだけではなく、HDL-コレステロールも血中から肝臓へ取り込み、血中HDL-コレステロールを低下させてしまうのです。
シンレスタール[プロブコール]の禁忌
- 重篤な心室性不整脈(多源性心室性期外収縮の多発)
[より重篤な心室性不整脈を起こすおそれがあります。] - 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人