便秘時の下剤として使用されるアミティーザ［ルビプロストン］は、これまでの便秘薬とは異なる新しい作用機序の製剤です。
今回は、アミティーザ［ルビプロストン］の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
アミティーザ［ルビプロストン］：便秘症治療薬
アミティーザ［ルビプロストン］は、緩下剤・便秘の治療薬として使用されています。
便が毎日出ない＝便秘 と思いがちかもしれませんが、そうではありません。
一般的には、3～4日以上便が出ない場合を便秘と定義しています。
便秘の原因となり得るものはさまざまです。
以下に便秘の原因となり得る一例をあげてみました。
- 食物繊維不足
- 水分不足
- 食事量不足
- 薬の副作用
- 手術の影響
- 生活環境の変化
- 黄体ホルモン量の増加
副作用で便秘になりやすい薬
- オピオイド薬：モルヒネなどの鎮痛薬、コデインリン酸塩などの鎮咳薬
- 抗コリン薬：ベシケアなどの過活動膀胱治療薬、パキシルなどの抗うつ薬、
- Ca拮抗薬：ワソランなどの降圧薬
- 鉄剤：フェロミア
生理前、女性の便秘が多い原因
女性で便秘が多い理由のひとつが、排卵から月経時にかけて増える黄体ホルモンです。
黄体ホルモンは、身体を妊娠の準備期間へと働かせるホルモンです。
具体的には、身体に栄養や水分を蓄え、子宮内膜と呼ばれる赤ちゃんのベッドをふかふかにする働きがあります。
また、妊娠中は胎児の栄養や水分を蓄えなければなりません。
やっくん
黄体ホルモンは栄養や水分を蓄えようとするため、腸内の水分量が減り、
便を外に押し出せない＝便秘が起こりやすくなるのです。
アミティーザ［ルビプロストン］の作用機序、特徴
便秘の原因のひとつは水分不足です。
硬い便と柔らかい便では、便の出しやすさも違いますよね。
腸の中の水分量を増やすことができれば、便は柔らかく、そしてスムーズに腸の中［腸管］を移動することができます。
また、水分を含んだ便は、かさが大きくなるため、便自体が腸管を刺激することで、腸の働きを活発にするといった効果も期待できます。
この腸の水分量を調節しているもののひとつがClC-2クロライドチャネル［CIC-2受容体］というものです。
- アミティーザは、小腸上皮に存在するClC-2クロライドチャネルを活性化し、腸管内へCl–イオンを運びます。
- 腸管内がマイナスに傾いてしまうため、Na+イオンも腸管内に引き寄せられます。
- すると、腸管内のNaCl、つまり塩分濃度が濃くなるため、それを薄めるために水分が腸管内に分泌されるのです。
そのため、便中の水分が少なくなっている便秘の方に対して良く効く薬なのです。
やっくん
アミティーザ［ルビプロストン］は、CIC-2クロライドチャネルに働きかけることで、小腸内の水分量を増やし、便を柔らかくすることで、慢性便秘を改善します。
アミティーザ自身は腸管局所に作用し、吸収後速やかに代謝されます。
アミティーザの粉砕、脱カプセルの可否
アミティーザは、高齢者の便秘によく使用されますが、カプセル剤のため粉砕ができません。
また、脱カプセルの可否についても、カプセル内にはわずか0.1mlしか成分が入っていないため全てを取り出すことができず推奨されていません。
粉砕や脱カプセルは不可能ですが、簡易懸濁法において8Frのチューブは通過しています。
55℃の温湯30mL中にアミティーザカプセルをそのまま加えます。
10分後、カプセルの残渣は認められましたが、8Frのチューブを通過したと報告されています。
この結果より、カプセルのままで服用できない方の場合は、少し手間はかかりますが、お湯に溶かして服用することが可能となります。
アミティーザ［ルビプロストン］の副作用
アミティーザ［ルビプロストン］は、慢性便秘の治療薬として、2012年に承認を受けた薬です。
代表的な副作用としては、下痢［30％］、悪心［23％］、腹痛［5.7％］などが挙げられます。
吐き気や悪心の副作用を軽減するため、アミティーザは食後に服用するよう指導します。
また、センナを主成分とするものは、長期間使用することによって薬が効きにくくなる習慣性が問題となりますが、アミティーザの場合は少なくとも1年間は習慣性が生じていないと報告されています。
アミティーザ［ルビプロストン］の禁忌
- 腸閉塞
- 妊婦
