ビタミンB5製剤、パントシン[パンテチン]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
パントシン[パンテチン]:パンテチン欠乏症治療薬
パントシン[パンテチン]は、パントテン酸欠乏症やそれに伴う脂質異常症、便秘症に使用される薬です。
パンテチンは、ビタミンB5とも呼ばれるパントテン酸から体内で合成されます。
補酵素A[CoA]の前駆物質であるため、糖代謝や脂質代謝、アセチルCoAの合成に関与しています。
そのためパンテチンが欠乏すると、代謝サイクルの乱れが起こり、さまざまな組織や細胞が上手く働かなくなるのです。
パントテン酸[ビタミンB5]は、レバーや鶏肉、納豆に多く含まれています。
パントテン酸は、通常の食事をしていれば不足することはありません。
妊婦や授乳時などに必要量が増えるため、不足する場合があります。
パントシン[パンテチン]の作用機序、特徴
パントシンの有効成分であるパンテチンは、補酵素A[CoA]の前駆物質です。
つまり、パンテチンの欠乏によって、CoAやアセチルコリンが不足します。
CoAは脂肪酸のβ-酸化に関与している補酵素です。
脂肪酸のβ-酸化
体内に取り込まれた脂質は、中性脂肪[トリグリセリド]や遊離脂肪酸、リン脂質、コレステロールとして使用、貯蔵されます。
貯蔵されている脂質をエネルギーに変える場合は、主に3つの脂肪酸からなる中性脂肪[トリグリセリド]が代謝されることでエネルギーが作られます。
このとき、脂肪酸が代謝される過程のひとつをβ-酸化と呼びます。
脂肪酸にCoAが結合し、アセチルCoAが生成されクエン酸回路でエネルギーに変換されるのです。
パントシン[パンテチン]は、パントテン酸欠乏症や脂質代謝異常、便秘症の治療に使用される薬です。
CoAの生成量を増やし、アセチルCoAやアセチルコリンの不足を改善することで脂質代謝を改善します。
また、アセチルコリン量を増やすことで副交感神経の働きを高め、腸管運動を活発にします。
やっくん
パントシン[パンテチン]は、CoAの前駆体であり、脂質代謝、腸管運動の改善に働きます。
パントシン[パンテチン]の副作用
パントシン[パンテチン]は、パンテチン欠乏症やそれに伴う脂質代謝異常、便秘の治療薬として、1966年に承認された薬です。
パントシンの副作用は、下痢・軟便、腹部膨満、嘔吐、食欲不振などが報告されています。
パントシン[パンテチン]の禁忌
- 特になし