COPDの治療薬として使用されるLAMAのひとつがスピリーバ[チオトロピウム]です。
このページでは、スピリーバ[チオトロピウム]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
スピリーバ[チオトロピウム]:慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬
スピリーバ[チオトロピウム]は慢性気管支炎や肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)に使用される治療薬です。
COPDとは、肺が破壊されることによる呼吸困難や咳・たん、ぜん鳴を伴う疾患です。
ぜん鳴とは、呼吸をした際にゼーゼー、ヒューヒューといった呼吸の音を指しています。
COPDの原因の90%以上は、タバコ[受動喫煙含む]です。
その他、ハウスダストや大気汚染も原因となることがあります。
タバコやハウスダストなどの有害物質・異物は、肺中の肺胞に侵入します。
すると、肺が炎症を起こしたり、破壊されてしまうのです。
肺の炎症は、気管支を狭く、肺の破壊は酸素と二酸化炭素の交換を阻害し、呼吸困難を引き起こすのです。
COPDは、普段は無症状でも、階段を上った後や走った後などに呼吸困難に陥る”労作性”の疾患です。
そのため、実際に治療を受けている人は5%程度と言われており、未治療の隠れCOPDが多いのが実際です。
COPDは、糖尿病や骨粗しょう症、睡眠障害などのさまざまな疾患の危険因子であり、肺がんを合併することがあります。
また、免疫が落ちてしまうため、感染を予防することも必要です。
労作時の呼吸困難に加え喫煙歴があればCOPDを疑い、浮腫やうっ血に伴う体重増加、SPO2の測定などで初期症状を見逃さないようにしましょう!
スピリーバ[チオトロピウム]の作用機序、特徴
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因は、前述の通りタバコ[喫煙]が主です。
まずは、禁煙はもちろんのこと、タバコに暴露しないこと[受動喫煙]が重要となります。
それに加え、狭くなってしまった気管支を広げるための薬=気管支拡張薬が使用されるのです。
気管支拡張薬には抗コリン薬やβ2刺激薬、メチルキサンチン、ステロイドが使用されます。
飲み薬ではなく、一般的には副作用軽減のために吸入薬が使用されます。
治療効果が不十分な場合は、系統の異なる薬を併用することが推奨されています。
スピリーバは、長時間作用型抗コリン薬[LAMA]に分類されるCOPDの治療薬です。
副交感神経を支配している神経伝達物質アセチルコリンが、気管支のムスカリン受容体に作用すると、気管支を収縮させる作用があります。(上図)
スピリーバの作用機序は、気管支のムスカリン受容体を選択に遮断する作用によります。
M1~5受容体すべてに親和性を示しますが、特にM3受容体に長時間作用することから、1日1回吸入することで効果を得られる薬として使用されています。
やっくん
スピリーバ[チオトロピウム]は、ムスカリン受容体に拮抗、阻害作用を示すことで、アセチルコリンの結合を阻害、気管支の収縮を抑制し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を改善します。
スピリーバ[チオトロピウム]の副作用
スピリーバ[チオトロピウム]は、慢性気管支炎や肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬として、2004年に発売された薬です。
主な副作用としては、口渇[6.17%]が挙げられます。
抗コリン薬は副交感神経の働きを抑えるため、胃酸や唾液といった消化液の分泌を抑えてしまうためです。
スピリーバ[チオトロピウム]の禁忌
- 閉塞隅角緑内障[眼内圧を高め、症状を悪化させるおそれがある。]
- 前立腺肥大等による排尿障害[更に尿を出にくくすることがある。]
LAMAは体内への吸収率は低く設計されてますが、上記2疾患については抗コリン作用より禁忌となっています。