抗菌薬とステロイド外用薬の配合薬、テラコートリル[オキシテトラサイクリン/ヒドロコルチゾン]の効能、強さ、副作用について解説しています。
テラコートリル[オキシテトラサイクリン/ヒドロコルチゾン]:ステロイド外用薬
テラコートリル[オキシテトラサイクリン/ヒドロコルチゾン]は、感染を伴う湿疹・皮膚炎の治療に使用される抗生剤・ステロイドの配合薬です。
感染を伴う湿疹のひとつが、とびひと呼ばれる「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」です。
とびひは、虫刺されや掻きむしった擦り傷部分などに、外部から細菌が侵入することで発症します。
「黄色ブドウ球菌」や「レンサ球菌(溶血性レンサ球菌)」が原因菌であり、水疱が破れて様々な場所へと細菌が伝染することから「とびひ」と言われています。
テラコートリル[オキシテトラサイクリン/ヒドロコルチゾン]の強さ、作用機序
とびひの治療は原因菌に働く薬物療法であり、テラコートリルはそのひとつです。
テラコートリルは、オキシテトラサイクリン/ヒドロコルチゾンを有効成分とする配合薬です。
テラコートリルは、無菌製剤ではないため、粘膜以外の身体全体の皮膚や傷口に使用します。
オキシテトラサイクリンの作用機序
オキシテトラサイクリンを含むテトラサイクリン系抗菌薬は、とびひの原因菌である「ブドウ球菌・レンサ球菌」に対して感受性があります。
オキシテトラサイクリンは、これら細菌のタンパク質生合成過程に作用します。
タンパク質は、DNAの情報をmRNAに転写した後に、リボソームで翻訳され、タンパク質へと合成されます。
オキシテトラサイクリンは、タンパク質生合成の翻訳過程にて関与するリボソーム30Sに結合することで、アミノアシル t-RNAの作用を阻害し抗菌作用を示します。
やっくん
テラコートリル[オキシテトラサイクリン]は、リボソーム30Sサブユニットに結合することで、タンパク質の生合成を阻害し、抗菌作用を示します。
ヒドロコルチゾンの作用機序
テラコートリルの有効成分であるヒドロコルチゾンは、脂溶性で分子量が362.46と小さいことから、細胞内へ容易に取り込まれます。
細胞膜を通過し細胞質へ取り込まれると、グルココルチコイド受容体[GR]に結合し、核内へ侵入します。
テラコートリルを含むステロイド外用薬は、この核内において2つの作用を示します。
1つ目は、GR結合部位[GRE]に結合することでリポコルチンと呼ばれるタンパク質の転写を誘導します。
リポコルチンの作用の1つがホスホリパーゼA2の阻害作用であるため、アラキドン酸カスケードにおけるプロスタグランジン[PG]とロイコトリエン[LT]といった炎症に関与する局所ホルモンの生合成を阻害するのです。
2つ目は、AP-1やNF-κBなどの炎症性転写因子に直接結合する作用です。
これら炎症性転写因子の作用を抑制することで、炎症性サイトカインであるTNF-αやIL-6の産生を抑制します。
やっくん
テラコートリル[ヒドロコルチゾン]は、局所ホルモンの生合成阻害作用、炎症性サイトカインの生合成阻害作用により、抗炎症作用を示します。
テラコートリル[オキシテトラサイクリン/ヒドロコルチゾン]の副作用
テラコートリル[オキシテトラサイクリン/ヒドロコルチゾン]は、湿潤性湿疹や感染を伴う湿疹や皮膚炎の治療薬として、1957年に発売された古い薬です。
テラコートリルは、主な副作用として、過敏症や感染症が考えられています。
テラコートリル[オキシテトラサイクリン/ヒドロコルチゾン]の禁忌
- 真菌症(白癬、カンジダ症等)、皮膚結核、単純疱疹、水痘、種痘疹
[感染症を増悪させることがあります。] - 潰瘍(ベーチェット病を除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷
[治癒をさまたげることがあります。]