高リン血症の治療薬として使用される薬のひとつが、ホスレノール[炭酸ランタン]です。
今回は、ホスレノール[炭酸ランタン]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
ホスレノール[炭酸ランタン]:高リン血症治療薬
ホスレノール[炭酸ランタン]は、慢性腎不全時の高リン血症の治療薬です。
腎機能には、尿素窒素や尿毒症毒素といった老廃物を排泄する働きがあります。
それらに加え、カリウム、カルシウム、リンなどのミネラル分の排泄作用も持ちあわせています。
リンは、ミネラルの中ではカルシウムの次に多く体内に含まれるミネラルです。
リンは、タンパク質を多く含む食品中に含まれる傾向があり、牛乳や卵、チーズなどに含まれます。
リンの主な働きは、カルシウムと結合し、骨や歯を形成することです。
また、DNAやRNAといった核酸や、ATP、各種酵素の原料となります。[○○リン酸や○○リン酸塩、○○ホスホ△△、○○ホスファターゼ]
そのため、リンが不足すると骨密度の低下や、横紋筋融解症、貧血などを起こします。
逆に、リンが過剰になると、カルシウムとの結合が促進し低カルシウム血症や、骨からのカルシウムを吸収することで骨密度の低下を引き起こします。
つまり、腎機能が低下することによってリンの排泄能が落ちると、低カルシウム血症や骨密度の低下、リンとカルシウムが骨や歯以外に沈着する異所性石灰化が起こります。
この異所性石灰化は、血管内で起これば動脈硬化を引き起こし、心血管や心筋で起これば狭心症や不整脈などを引き起こすこともあります。
ホスレノール[炭酸ランタン]の作用機序、特徴
慢性腎不全時は、腎機能低下によって高リン血症を引き起こす可能性があります。
ホスレノールは、リンを吸着する慢性腎不全時の高リン血症治療薬です。
ホスレノールの有効成分は、炭酸ランタンです。
ホスレノールの有効成分である炭酸ランタンは、胃や腸などの消化管において食べ物から摂取されたリンを吸着します。
リンの吸着薬としては、カルタン[沈降炭酸カルシウム]が使用されていましたが、カルシウムを含有するため高カルシウム血症の副作用や異所性の石灰化が問題となっていました。
ホスレノールは、リン酸イオンとランタンイオンが結合し、難溶性の塩を形成するリン吸着薬です。
この難溶性の塩であるリン酸ランタンは、腸管において吸収されにくく、便中へ排泄されます。
やっくん
ホスレノール[炭酸ランタン]は、消化管において食べ物由来のリンを吸着し、リンの腸管からの吸収を抑制することで、慢性腎不全の高リン血症を改善させます。
pHによるリン除去率は酸性側で強く、pH3で97.5%、pH5で97.1%、pH7で66.6%を示しています[in vitro]
ホスレノール[炭酸ランタン]の副作用
ホスレノール[炭酸ランタン]は、慢性腎不全時の高リン血症治療薬として、2009年に発売された薬です。
主な副作用としては、嘔吐[12.5%]、悪心[10.2%]、胃不快感[3.0%]、便秘[2.3%]などが報告されています。
嘔吐や悪心といった代表的な副作用は、食直後に服用することで軽減できることがあります。
ホスレノール[炭酸ランタン]の禁忌
- 特になし