中枢性および末梢性の両方の制吐薬として使用される薬のひとつが、ナウゼリン[ドンペリドン]です。
このページでは、ナウゼリン[ドンペリドン]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
ナウゼリン[ドンペリドン]:制吐薬
ナウゼリン[ドンペリドン]は、悪心や嘔吐などの消化器症状の治療薬として使用されている薬です。
嘔吐には、さまざまな原因があります。
身近な原因は、感染症・ストレス・過剰なアルコール・食べ過ぎ・妊娠・乗り物酔いなどでしょうか?
これらはすべて脳内にある嘔吐中枢が関与しています。
脳内のCTZと呼ばれる化学受容器引金帯や胃・腸・内耳が刺激され、嘔吐中枢に伝わり、嘔吐するのです。
ナウゼリン[ドンペリドン]の作用機序
嘔吐を抑制するためには、嘔吐中枢の働きを阻害すればいいため、制吐薬はCTZや胃、腸、内耳に働きかけます。
ナウゼリンは、ドパミン[D2]受容体の遮断作用を持っています。
ドパミン受容体を遮断することで、次の2つの作用を示します。
1つ目は、CTZ中のドパミン受容体を遮断することでCTZの働きを阻害し、制吐作用を示します。
2つ目は、消化管中のドパミン受容体を遮断することでアセチルコリンの遊離を促進し、胃腸運動を改善します。
これら2つの作用によって、吐き気が止まり、並びに胃腸症状が改善されるのです。
やっくん
ナウゼリン[ドンペリドン]は、ドパミン受容体を遮断することで、制吐作用、胃腸運動改善作用を示します。
ナウゼリン[ドンペリドン]の特徴:プリンペラン[メトクロプラミド]との違い
ナウゼリンと同じような作用を持つ薬にプリンペラン[メトクロプラミド]があります。
プリンペランもドパミン受容体を阻害することで、制吐薬として使用されています。
ナウゼリンとプリンペランの違いは2つあります。
1つ目は、プリンペランは脂溶性薬物のため、血液脳関門[BBB]を通過しやすいといった特徴があります。
そのため、錐体外路障害の副作用に注意しなければなりません。
2つ目は、ナウゼリンを妊娠中のラットに用いたところ、催奇形性が報告されています。
そのため、妊婦には禁忌となっています。
ナウゼリン[ドンペリドン]の副作用
ナウゼリン[ドンペリドン]は、悪心や嘔吐などの消化器症状の治療薬として、1982年に発売された薬です。
主な副作用としては、下痢、便秘、胸やけ、嘔吐等の消化器系[0.4%]、乳汁分泌、女性化乳房等の内分泌系[0.2%]などが挙げられます。
ナウゼリン[ドンペリドン]の禁忌
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
- 消化管出血、機械的イレウス、消化管穿孔[症状が悪化するおそれがあります。]
- プロラクチン分泌性の下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)
[抗ドパミン作用によりプロラクチン分泌を促します。]