消化管機能が維持されている場合は、経腸栄養の適応となります。しかし、経腸栄養でも経鼻チューブのものから胃ろうまでと様々です。
今回は、経腸栄養剤の適応、使い分けについてまとめてみました。
経腸栄養とは?
十分な量の食事が摂れないなどの低栄養状態を改善するために、経腸栄養剤や静脈栄養剤[輸液]が使用されます。
消化管がどのくらい機能しているか、栄養剤をどのように摂取するかによって以下のように分類分けされます。
胃腸機能が働く場合は経腸栄養剤を、胃腸機能が働かない場合は静脈栄養剤[輸液]が適応されます。
経腸栄養剤はさらに、消化機能の必要の有無で半消化態栄養剤、消化態栄養剤に分かれます。
静脈栄養剤[輸液]は、2週間など短期的に末梢静脈から入れるもの、長期的に中心静脈から入れるものに分かれます。
経腸栄養剤のメリット:静脈栄養剤との違い
- 感染のリスクが低い
- 水分量の調節が容易
- 腸管を使うため、腸管免疫能が維持できる
経腸栄養剤のメリットは大きく3つに分かれます。
中でも静脈栄養においては、カテーテル挿入部位で起こる感染が一番のデメリットとなります。
細菌が血管内に侵入し、敗血症で亡くなる方も多いため、できるだけ早い経腸栄養剤への切り替えが推奨されています。
経腸栄養剤とカテーテル
経腸栄養剤は、バッグに注入するもの、ボトルに注入するものの2つのタイプがあります。
経腸栄養剤を投与するためには、上記のバッグやボトルに加えて輸液セットや栄養カテーテルが必要となります。
[ニプロHPより引用]
ここでは、ニプロさんの研修で受けた内容を紹介します。
経腸栄養の投与方法
バッグを使用する場合:ニプロ経腸栄養バッグ+ニプロ栄養カテーテル
ボトルを使用する場合:ニプロ経腸栄養ボトル+ニプロ経腸用輸液セット+ニプロ栄養カテーテル
バッグを使用するかボトルを使用するかによって、付属品が異なりますので、注意が必要となります。
ニプロ栄養カテーテルは、胃までしか挿入できず留置・使用期間の目安は1週間です。
短期的に経腸栄養が必要な方に使用します。
長期的に経腸栄養が必要な方や逆流・誤嚥リスクの高い方には、ニプロ栄養カテーテルは適していません。
その場合、十二指腸まで挿入可能なチューブを使用します。
経腸栄養剤の種類と使い分け
経腸栄養剤は保険が使える医薬品から、すべて自費の市販品まで何百種類もあります。
市販品には、糖尿病患者向けのものや腎機能低下患者向けなどより細かな使い分けが行われます。
一方で、医薬品では前述した半消化態栄養剤、消化態栄養剤に分かれます。
これらは、腸管において消化・吸収がしっかりとされているかによって使い分けます。
腸管免疫能を維持するためにも、可能な限り半消化態栄養剤を使用することが求めれられるためです。
腸管における消化・吸収能が十分でない場合に消化態栄養剤を使用します。
それぞれの栄養剤については以下で解説しています。