経口や胃瘻の栄養剤、エレンタールPの成分組成、カロリー、特徴、副作用について解説しています。
エレンタールP:経管栄養剤
エレンタールPなどの経管栄養剤は、食事摂取が困難な場合の栄養補給に使用される薬です。
歳を取るにつれ、
- 消化管の働きが弱くなる
- 味覚が鈍くなる
- 飲み込みづらくなる
などによってどうしても食欲が低下してしまいます。
また、新生児や乳幼児では、難治性の下痢や栄養状態が悪い場合があります。
いずれも食事から十分な栄養を摂取できなければ、低栄養状態となります。
低栄養状態では、
- 免疫力の低下
- 筋力、骨量の低下
- 認知機能の低下
などさまざまな疾患のリスクを上げてしまいます。
エレンタールPの成分組成、カロリー、特徴
低栄養状態を改善するために、経腸栄養剤や輸液が使用されます。
栄養の摂取方法によって以下のように分類分けされます。
胃腸機能が働く場合は経腸栄養剤を、胃腸機能が働かない場合は輸液が使用されます。
経腸栄養剤はさらに、消化の必要の有無で半消化態栄養剤、消化態栄養剤に分かれます。
輸液は末梢静脈から入れるもの、中心静脈から入れるものに分かれます。
エレンタールPは、消化態栄養剤です。
消化態栄養剤は、胃腸における消化を必要としません。
そのため、糖質はデキストリンに、タンパク質はアミノ酸やペプチドに予め分解されており、脂質はほとんど配合されていません。
エレンタールPは40gの内用剤を合計155mLになるよう水で溶かし服用します。
投与方法は、経鼻・胃瘻・腸瘻チューブだけでなく、経口投与も可能です。
エレンタールPの栄養成分組成は以下の通りです。
栄養成分組成 | 含有量[配合剤+水=155mL中] | |
---|---|---|
三大栄養素 | アミノ酸 | 5.20g |
脂肪 | 1.4g | |
糖質 | 31.00g | |
ミネラル、微量元素 | ナトリウム | 144.8mg(6.3mEq) |
カリウム | 247.6mg(6.3mEq) | |
カルシウム | 170.4mg(8.5Eq) | |
マグネシウム | 21.9mg(1.8mEq) | |
塩素 | 257.2mg(7.2mEq) | |
鉄 | 2.56mg | |
亜鉛 | 1.48mg | |
マンガン | 0.25mg | |
銅 | 0.18mg | |
ヨウ素 | 12.4μg | |
リン | 131.6mg | |
ビタミン | レチノール[ビタミンA] | 540IU |
エルゴカルシフェロール[ビタミンD] | 170IU | |
酢酸トコフェロール[ビタミンE] | 2.75mg | |
フィトナジオン[ビタミンK] | 7.3μg | |
チアミン[ビタミンB1] | 127μg | |
リボフラビン[ビタミンB2] | 204μg | |
ピリドキシン[ビタミンB6] | 183μg | |
シアノコバラミン[ビタミンB12] | 0.6μg | |
アスコルビン酸[ビタミンC] | 14.3mg | |
ニコチン酸アミド[ナイアシン] | 1.83mg | |
パントテン酸 | 0.91mg | |
葉酸 | 36.8μg | |
ビオチン | 32.8μg | |
コリン | 20.1mg |
この表の値は、エレンタールP配合内溶剤40gに水130mLを合わせた計155mLでの数値です。
エネルギーとしては、156キロカロリー[kcal]摂取することができます。
塩分制限や水分制限のある患者さんの場合、食塩相当量が0.37g、水分量が134mLで計算します。
新生児に用いるケースが多いため、母乳のアミノ酸組成を基にし、また脂肪量も多く設定されていることが特徴です。
やっくん
エレンタールPは、消化の不要な消化態栄養剤として働くことによって、低栄養状態を改善します。
エレンタールPの副作用
エレンタールPは、新生児及び乳幼児の経管栄養剤として、1987年に発売された薬です。
エレンタールPの副作用としては、下痢[6.6%]、嘔吐[1.7%]、腹部膨満[0.4%]等の消化管障害、肝機能異常[1.4%]、AST(GOT)・ALT(GPT)上昇[1.2%]等の肝臓・胆管系障害、発熱[0.3%]、貧血[0.2%]等が報告されています。
エレンタールPの禁忌
- フェニルケトン尿症等のアミノ酸代謝異常[高アミノ酸血症等を起こすおそれがあります。]