経口栄養剤、ラコールNFの成分組成、カロリー、特徴、副作用について解説しています。
ラコールNF:経管栄養剤
ラコールNFは、食事摂取が困難な場合の栄養補給に使用される薬です。
歳を取るにつれ、
- 消化管の働きが弱くなる
- 味覚が鈍くなる
- 飲み込みづらくなる
などによってどうしても食欲が低下してしまいます。
食事から十分な栄養を摂取できなければ、低栄養状態となります。
低栄養状態では、
- 免疫力の低下
- 筋力、骨量の低下
- 認知機能の低下
などさまざまな疾患のリスクを上げてしまいます。
ラコールNFの成分組成、カロリー、特徴
低栄養状態を改善するために、経腸栄養剤や輸液が使用されます。
栄養の摂取方法によって以下のように分類分けされます。
胃腸機能が働く場合は経腸栄養剤を、胃腸機能が働かない場合は輸液が使用されます。
経腸栄養剤はさらに、消化の必要の有無で半消化態栄養剤、消化態栄養剤に分かれます。
輸液は末梢静脈から入れるもの、中心静脈から入れるものに分かれます。
ラコールNFは、半消化態栄養剤です。
半消化態栄養剤は、胃における消化を必要としません。
しかし、腸によってタンパク質と脂質を消化する必要があります。
そのため、ラコールNF中の糖質はデキストリンに分解されていますが、タンパク質は牛乳のカゼインや、大豆由来のものが使用されており、脂質も大豆、シソ油など消化態栄養剤より多く配合されています。
ラコールNFの栄養成分組成は以下の通りです。
栄養成分組成 | 含有量[1パウチ=200mL中] | |
---|---|---|
三大栄養素 | タンパク質 | 8.76g |
脂肪 | 4.46g | |
糖質 | 31.24g | |
ミネラル、微量元素 | ナトリウム | 147.6mg |
カリウム | 276mg | |
カルシウム | 88mg | |
マグネシウム | 38.6mg | |
塩素 | 234mg | |
鉄 | 1.25mg | |
亜鉛 | 1.28mg | |
マンガン | 0.266mg | |
銅 | 0.25mg | |
リン | 88mg | |
ビタミン類 | レチノール[ビタミンA] | 414IU |
コレカルシフェロール[ビタミンD] | 27.2IU | |
酢酸トコフェロール[ビタミンE] | 1.3mg | |
フィトナジオン[ビタミンK] | 12.50μg | |
チアミン[ビタミンB1] | 760μg | |
リボフラビン[ビタミンB2] | 490μg | |
ピリドキシン[ビタミンB6] | 750μg | |
シアノコバラミン[ビタミンB12] | 0.64μg | |
アスコルビン酸[ビタミンC] | 56.2mg | |
ニコチン酸アミド[ナイアシン] | 5.0mg | |
パントテン酸 | 1.9mg | |
葉酸 | 75μg | |
ビオチン | 7.72μg |
この表の値は、ラコールNF200mL中の数値です。
エネルギーとしては、1パウチ200mLで200キロカロリー[kcal]摂取することができます。
塩分制限や水分制限のある患者さんの場合、食塩相当量が0.38g、水分量が170mLで計算します。
やっくん
ラコールNFは、消化がある程度可能な半消化態栄養剤として働くことによって、低栄養状態を改善します。
ラコールNFは、ワーファリンとの相互作用を考慮し、ビタミンK[フィトナジオン]量を少なくしていることが特徴です。
NFとはビタミンKを減量したNew Formula[新しい組成]から名付けられています。
ラコールNFの副作用
ラコールNFは、食事摂取が困難な場合の経管栄養剤として、1999年に発売された薬です。
ラコールNFの副作用としては、下痢[20.2%]、腹部膨満感[9.1%]、腹痛[7.0%]、悪心[2.5%]、嘔吐[1.2%]等が報告されています。
ラコールNFの禁忌
- 牛乳タンパクアレルギー
[牛乳由来のカゼインが含まれているため、ショック、アナフィラキシー様症状を引き起こすことがあります。] - イレウス[消化管の通過障害があります。]
- 腸管の機能が残存していない患者[水、電解質、栄養素などが吸収されません。]
- 高度の肝・腎障害[肝性昏睡、高窒素血症などを起こすおそれがあります。]
- 重症糖尿病などの糖代謝異常[高血糖、高ケトン血症などを起こすおそれがあります。]
- 先天性アミノ酸代謝異常
[アシドーシス、嘔吐、意識障害などのアミノ酸代謝異常の症状が発現するおそれがあります。]