レグパラ[シナカルセト]は、維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症の治療に使用される治療薬です。
このページでは、レグパラ[シナカルセト]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
レグパラ[シナカルセト]:二次性副甲状腺機能亢進症治療薬
レグパラ[シナカルセト]は、維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症の治療に使用される治療薬です。
副甲状腺の主な役割は、副甲状腺ホルモン[PTH:パラトルモン]の分泌を調節し、体内のカルシウム濃度を一定にすることです。
副甲状腺ホルモンは、血中のカルシウム濃度を高める働きがあります。
つまり、副甲状腺機能亢進症のように副甲状腺ホルモンが過剰になると、骨から血液中へとカルシウムが移行し、血液中のカルシウム濃度が高くなるのです。
これにより、骨の変形、骨折、血管や組織へのカルシウムの沈着が症状として現れます。
副甲状腺機能亢進症の原因
副甲状腺機能亢進症は、何らかの原因で副甲状腺ホルモンが腫れて大きくなり、過剰に分泌されることが原因です。
副甲状腺ホルモンの分泌器官に腫瘍ができる場合を原発性副甲状腺機能亢進症、主に腎疾患によって副甲状腺が肥大する場合を二次性副甲状腺機能亢進症と言います。
レグパラ[シナカルセト]の作用機序、特徴
副甲状腺機能亢進症の患者は、副甲状腺ホルモン[PTH:パラトルモン]が分泌過剰になることで上記の骨折やカルシウム沈着などの症状を引き起こします。
つまり、副甲状腺ホルモンの分泌を制限すれば、副甲状腺機能亢進症患者の症状を改善することができます。
副甲状腺ホルモンは血中のCa2+濃度によって制御されています。
通常、血中のCa2+濃度が高いと副甲状腺ホルモンの分泌を抑制します。
Ca2+濃度が低いと副甲状腺ホルモンの分泌を促進します。
透析が必要な腎機能低下患者では、ビタミンD3の活性化がほとんど行われないため、Caがほとんど吸収されません。
そのため、血中Ca2+濃度が低くなり、副甲状腺ホルモンの分泌が促進されるのです。
レグパラは、副甲状腺のカルシウム受容体に作用し、血中Ca2+濃度が高いように錯覚させることで、副甲状腺ホルモンの分泌を抑制します。
やっくん
レグパラ[シナカルセト]は、カルシウム受容体に結合し、副甲状腺ホルモンの分泌を抑制します。
レグパラ[シナカルセト:]の特徴:血清リン値の低下
二次性の副甲状腺機能亢進症では、これまで活性型ビタミンD3製剤が使用されていました。
しかし、カルシウムの吸収率を上げることから、血中Ca2+濃度の上昇およびカルシウムの沈着が副作用として認められる場合があります。
レグパラは、血中Ca2+濃度を下げる可能性はありますが、上昇やカルシウムの沈着は起こりません。
また、血清リン値を低下させることもわかっており、透析患者には非常に優れた薬となっています。
レグパラ[シナカルセト]の副作用
レグパラ[シナカルセト]は、維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症の治療薬として、2008年に発売された比較的新しい薬です。
主な副作用として、悪心・嘔吐[21.6%]、胃不快感[18.7%]、食欲不振[9.8%]、腹部膨満[5.9%]等の消化器症状、低カルシウム血症・血清カルシウム減少[14.7%]、QT 延長[5.8%]が報告されています。
レグパラ[シナカルセト]の禁忌
- 特になし