慢性腎不全時のアミノ酸補給薬、アミユー[必須アミノ酸]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
アミユー[必須アミノ酸9種類]:慢性腎不全時のアミノ酸補給薬
アミユー[必須アミノ酸9種類]は、慢性腎不全時のアミノ酸を補給する薬です。
腎不全時にタンパク質を制限する理由
腎不全の患者さんでは、タンパク質を制限した食事が摂られています。
これは、タンパク質から生体にとって毒となる老廃物[尿素窒素]が生じ、体内に蓄積してしまうためです。
通常は、この老廃物を腎臓が処理し、尿中に排泄します。
しかし、腎機能が低下すると、尿からの排泄量が減り、血中濃度が高くなります。
ここで高くなった尿素窒素の血中濃度がBUN[血中尿素窒素]であり、腎機能低下の指標として使用されるのです。
やっくん
つまり、タンパク質の摂取を制限することで、尿素窒素の生成量を減らしているのです。
腎不全時に必須アミノ酸を補給する理由
腎不全時には、必須アミノ酸を補給すると、BUNが下がることが確認されています。
これを考える際は、アミノ酸スコア[価]とよばれる、尿素窒素を生成しにくい必須アミノ酸の含有比率を数値化した値が重要になります。
必須アミノ酸とは次の9つのアミノ酸を指します。
- イソロイシン
- ロイシン
- リシン
- メチオニン
- フェニルアラニン
- トレオニン
- トリプトファン
- バリン
- ヒスチジン
アミノ酸スコアが100の食品は、尿素窒素の生成量を少なく抑えれます。
一方、アミノ酸スコアが50の食品は、そのまま摂取すると老廃物などとして排泄される割合が多くなってしまいます。
私たちは、多くの種類の食品を摂取し、アミノ酸スコアを100に近づけるよう努力しているのです。
ひとつ例を見てみましょう。
精白米のアミノ酸スコアは65です。
これは、必須アミノ酸であるリシンが65、トレオニンが84と2種類の必須アミノ酸が足りていないためです。他の7つの必須アミノ酸は100を超えています。
このままでは、摂取した35%のタンパク質は、老廃物などを作ってしまいます。
この場合、せっかく摂取したタンパク質が老廃物になるのはもったいないので、数値の低い必須アミノ酸[=第一制限アミノ酸といいます]を補ってやればいいのです。
第一制限アミノ酸を含む食品[今回の場合はリシンを多く含む大豆製品]を一緒に取ることで、アミノ酸スコアが100になり、老廃物を出しにくく効率良くタンパク質が使用されるのです。
やっくん
つまり、必須アミノ酸を補うことでアミノ酸スコアを100に近づけ、尿素窒素の生成を抑制するのです。
アミユー[必須アミノ酸9種類]の作用機序、有効成分、含量
慢性腎不全時は、これ以上腎機能が低下しないように徹底しなければなりません。
主に、次の6つを行います。
- タンパク質を制限する
- 塩分を制限する
- カリウムを制限する
- 水分を制限する
- リンを制限する
- エネルギー不足を解消する
タンパク質の摂取を全く0にすることは不可能であるため、質の良いタンパク質を摂取しなければなりません。
アミユーは、必須アミノ酸9種類からなるアミノ酸補給薬です。
アミユーは以下の必須アミノ酸を含有しています。
有効成分 | アミユー1包[2.5g]中 |
---|---|
イソロイシン | 203.9mg |
ロイシン | 320.3mg |
リシン | 291.0mg |
メチオニン | 320.3mg |
フェニルアラニン | 320.3mg |
トレオニン | 145.7mg |
トリプトファン | 72.9mg |
バリン | 233.0mg |
ヒスチジン | 216.2mg |
やっくん
アミユー[必須アミノ酸9種類]は、アミノ酸スコアを改善し、血中尿素窒素濃度[BUN]の低下、タンパク質の合成により、慢性腎不全の病態を遅延させます。
アミユー[必須アミノ酸9種類]の副作用
アミユー[必須アミノ酸9種類]は、慢性腎不全時のアミノ酸補給薬として、1981年に承認された薬です。
主な副作用としては、悪心(嘔気)[1.26%]、食欲不振[0.74%]、嘔吐[0.43%]、腹部膨満感[0.34%]、口内不快感(口内乾燥感、口渇感を含む)[0.25%]、AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇[0.16%]などが知られています。
アミユー[必須アミノ酸9種類]の禁忌
- 高度の肝機能障害[アミノ酸インバランスを助長し、肝性昏睡を起こすおそれがあります。]