脂質異常症治療薬、ゼチーア[エゼチミブ]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
ゼチーア[エゼチミブ]:脂質異常症[高脂血症]治療薬
ゼチーア[エゼチミブ]は脂質異常症[高脂血症]の治療に使用される治療薬です。
脂質異常症は、糖尿病や高血圧と同様に、メタボリックシンドロームの診断基準に加えられる生活習慣病です。
血液中のLDL-コレステロール[悪玉コレステロール]やトリグリセリド[中性脂肪]が多かったり、HDL-コレステロール[善玉コレステロール]が少なくなっている状態を指します。
これらは、特に自覚症状がありませんが、主に血管が硬くなることで動脈硬化を引き起こしたり、血管の損傷や詰まりが起こりやすくなります。
そのため、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、脳出血などの血管に関連する疾患のリスクを高めるのです。
脂質異常症[高脂血症]の原因
脂質異常症は、生活習慣病と言われることから、その原因は食事と運動です。
食事では、脂のイメージが高い肉類だけでなく、ご飯やパン、スイーツなどの糖質も原因のひとつです。
なぜなら、必要以上の糖質は体内の脂肪合成に使用されるからです。
また、運動はカロリーの消費のみでなく、悪玉LDL-コレステロールを減らし、善玉HDL-コレステロールを増やす働きがあります。
ゼチーア[エゼチミブ]の作用機序、特徴
脂質異常症の患者は、その原因である食事の改善や適度な運動が推奨されています。
それでも、十分にコレステロールや中性脂肪の数値が改善しない場合に、薬を服用します。
ゼチーアは、食事に含まれるコレステロールを吸収しないように働く、脂質異常症の治療薬として使用されます。
脂質異常症治療薬の多くは、体内でのコレステロールの合成、排泄に作用する薬が多かったため、新しい作用機序の薬として注目されています。
コレステロールの合成は、7~8割が肝臓において、残りの2~3割が食事由来です。
食品中のコレステロールは、コレステロールの輸送体=NPC1L1と呼ばれるトランスポーターを介して体内に吸収されます。
ゼチーアは、このNPC1L1に作用し、食事由来のコレステロールの吸収を阻害、便中に含ませることで、血中コレステロール値を改善します。
やっくん
ゼチーア[エゼチミブ]は、小腸におけるコレステロールトランスポーター[NPC1L1]に作用し、コレステロールの吸収を阻害することで、血中のコレステロールを低下させます。
ゼチーアは、その他インスリン抵抗性改善効果や脂肪肝改善効果が期待されています。
ゼチーア[エゼチミブ]の副作用
ゼチーア[エゼチミブ]は、脂質異常症の治療薬として、2007年に発売された薬です。
主な副作用としては、便秘[3.0%]、発疹[2.4%]、下痢[2.2%]、腹痛[2.0%]、腹部膨満及び悪心・嘔吐[各1.6%]などが報告されています。
臨床検査値の異常変動は、γ-GTP 上昇[2.6%]、CK(CPK)上昇[2.2%]、ALT(GPT)上昇[2.2%]などが報告されています。
ゼチーア[エゼチミブ]の禁忌
- HMG-CoA 還元酵素阻害剤を併用する場合、重篤な肝機能障害