イナビル[ラニナミビル]作用機序、特徴、副作用

2017年12月4日

風邪イラスト

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イナビル[ラニナミビル]:抗ウイルス薬

イナビル[ラニナミビル]は、インフルエンザウイルスに対する治療薬として使用されています。

細菌・ウイルスとは?

細菌とウイルスでは、構造が全く異なるため増殖過程も異なります。

細菌 ウイルス
構造

細菌構造

細胞質+細胞膜+細胞壁

ウイルス構造

核酸+タンパク質の外壁

大きさ 1μm 1/1000μm
増殖過程 自分の力で増殖
[栄養環境でないと生きられない]
生物に寄生して増殖
[環境の影響を受けにくい]
薬物療法 抗生物質[抗菌薬] 抗ウイルス薬


細菌の構造は、真ん中に核を持ち、核は細胞質、細胞膜、細胞壁に覆われており複雑です。

タンパク質の合成に必要なリボソームや小胞体、エネルギー代謝に必要なミトコンドリアを持つものもあります。

ウイルスの構造は、真ん中に核を持ち、核はカプシドと呼ばれるタンパク質の殻とエンベロープと呼ばれる膜に覆われているのみであり単純です。

このように、複雑な構造をしている細菌は自分の力で数を増殖することが可能ですが、単純な構造をしているウイルスは誰かの力を借りなければなりません。

例えば食中毒の原因菌のひとつである腸炎ビブリオとノロウイルスを比較してみましょう。

条件:常温で24時間放置

細菌ウイルス違い

  • 腸炎ビブリオ[細菌]→約1億個まで増殖します。
  • ノロウイルス[ウイルス]→1個のままです。

よって、細菌による感染症の対策とウイルスによる感染症の対策は別物として考える必要があるのです。

感染症とは?

私たちの身の回りには、さまざまな細菌やウイルスなどの微生物が潜んでいます。
しかし、これらの微生物にすぐに感染するかと言うとそうではないですよね。
感染が成立するには、抵抗力と感染力どちらが強いかが重要になってきます。

抵抗力感染力

新生児や高齢者は抵抗力が弱いため、少量の細菌やウイルスで感染してしまいます。

抗生物質や抗ウイルス薬では、微生物そのものを死滅させる作用を持つもの、微生物の増殖過程を阻害するものに分かれます。

抵抗力が弱くなり微生物がかなり増殖した状態で薬を飲んでも効果がない場合がありますので、注意しましょう!

イナビル[ラニナミビル]の作用機序

ひと昔前は、結核菌など感染症にかかってしまっても対症療法しか選択できず、多くの患者が命を落としていました。

感染症の治療薬として、ペニシリンが発見されて以降多くの抗菌薬[抗生物質]が開発されています。

イナビルは、インフルエンザウイルスに対して使用される抗ウイルス薬です。

イナビルはインフルエンザウイルスを殺すのではなく、ウイルスの増殖過程を阻害します。

ウイルスの増殖スピードが速いため、症状が出てから48時間以内に投与することとされています。

インフルエンザウイルスは、自身を増殖する際は宿主細胞に寄生します。

この寄生は、インフルエンザウイルス表面にあるヘマグルチニン[HA]ノイラミニダーゼ[NA]と呼ばれる膜タンパク質が関与しています。

H1N1型のインフルエンザやH3N2型のインフルエンザなど耳にすることがありますが、Hはヘマグルチニン、Nはノイラミニダーゼの種類を表しています。

インフルエンザウイルス構造

ウイルスが宿主細胞に寄生する際は、ヘマグルチニン[HA]が宿主細胞の持つシアル酸と結合し細胞内へ侵入します。

宿主細胞に寄生しウイルスを増殖させた後は、別の細胞へ寄生するために感染細胞からインフルエンザウイルスは遊離します。

この遊離の際、ノイラミニダーゼ[NA]がシアル酸とウイルスとの結合を解離するのです。

HANA働き

イナビルの有効成分の正式名称はラニナミビルオクタン酸エステル水和物であり、脂溶性を高くしたプロドラッグです。

イナビルの作用機序は、細胞内のゴルジ体でエステラーゼにより活性化体のラニナミビルに代謝されます。

活性化体となったラニナミビルがノイラミニダーゼと強く結合することで作用を阻害します。

イナビル作用機序

やっくん

やっくん

イナビル[ラニナミビル]は、ノイラミニダーゼ[NA]を阻害することで、ウイルスの増殖過程を阻害し、抗ウイルス作用を示すと考えられています。

活性化体のラニナミビルは水溶性であり、ゴルジ体から外へ放出されにくいため、単回投与の長期間効果が持続するのです。

イナビル[ラニナミビル]の特徴:予防投与について

予防投与のため保険適応はありませんが、イナビルをインフルエンザの予防に用いることができます。

プラセボ群では16.9%[81/478]の発症率でしたが、イナビル予防投与群では3.9%[19/487]の発症率であったと報告されています。

インフルエンザに感染している方の同居家族や施設などの同生活者の中で、重症化リスクの高い以下の方が対象です。

  • 高齢者[65 歳以上]
  • 慢性心疾患または慢性呼吸器疾患
  • 代謝性疾患[糖尿病等]
  • 腎機能障害

イナビルを治療に用いる際は、10歳未満の場合20mgを10歳以上の場合40mgを1回のみ吸入します。

イナビルを予防に用いる際は、1日1回2日間吸入します。

予防投与の際は、インフルエンザ感染者と接触してから48時間以内に投与すると定められています。

イナビル[ラニナミビル]の副作用

イナビル[ラニナミビル]は、インフルエンザウイルスの治療薬として、2010年に承認された薬です。

主な副作用としては、下痢[0.31%]、めまい[0.11%]、悪心[0.08%]、蕁麻疹[0.08%]、発熱[0.08%]などが挙げられます。

また、小児患者を対象にした臨床試験において、イナビルが投与された276例中、異常行動に関連する副作用として、泣き0.4%(1/276)、譫妄0.4%(1/276)、語唱(脈絡の無い会話)0.4%(1/276)、異常行動0.4%(1/276)が認められました。

小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、患者・家族に対し十分な説明を行うとされています。

  1. 異常行動の発現のおそれがあること
  2. 自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮すること

イナビル[ラニナミビル]の禁忌

  • 特になし

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