2015年9月に誕生した健康サポート薬局、重大な病気に掛かる前に調剤薬局で何とかならないかといった相談窓口を目指して設立されました。
健康サポート薬局の認定基準や要件についてまとめています。
健康サポート薬局誕生の流れ
健康サポート薬局といった名称が誕生したのは2015年9月ですが、実はそれまでに名称について議論がされていました。
当初は、薬局の問題点として次の4つが挙がっていました。
- 一般用医薬品をおいてない薬局が多い
- 業務内容は処方箋に基づく調剤が主
- 地域の健康づくりに取り組んでない
- 医薬分業の本来の意義が伝わってない
これらの問題点を改善するために、セルフメディケーションの充実を図り、相談体制を整える目的で“健康情報拠点薬局”を今後推進していこうとされていました。
しかし、健康情報拠点薬局の中で食事療法や運動療法を行うことは違和感があると医師会より指摘が入り、「拠点」ではなく「窓口」のような役割でいいのではとまとまりました。
そこで、“健康情報拠点薬局”から“健康づくり支援薬局”へと名称が変更されました。
さらに、最後の検討会において薬局が何をするのかを明確に分かりやすく伝わることが重要ということで、健康サポート薬局が誕生したのです。
健康サポート薬局の概要
健康サポート薬局の理解を得るために、いくつかのモデル事業が実施されました。
その一例として、禁煙サポートや認知症の早期発見サポート、かかりつけ医や地域包括支援センターとの連携などが試験的に行われました。
その結果最終的な検討会において、
健康サポート薬局とは、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を有し、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する薬局
と定義されました。
ここでいう積極的な支援とは、
- 医薬品や健康食品等の安全かつ適正な使用に関する助言
- 地域住民の身近な存在として健康の維持・増進に関する相談を幅広く受け付け、適切な専門職種や関係機関に紹介
- 率先して地域住民の健康サポートを実施し、地域の薬局への情報発信、取組支援も実施
とされています。
健康サポート薬局の要件
健康サポート薬局の要件は、①かかりつけ薬局としての基本的機能・②健康サポートを実施する上での地域における連携体制の構築の大きく2つに分かれます。
①かかりつけ薬局としての基本的機能
- 24時間対応・在宅対応
- 医療機関との連携
- 服薬情報の一元的・継続的把握
24時間対応・在宅対応
- 字のごとく24時間対応・在宅患者の指導実績です。
医療機関との連携
- 疑義照会や受診勧奨、他職種との連携
服薬情報の一元的・継続的把握
- かかりつけ薬剤師の選択、促し
- 患者がかかる全ての医療機関や一般用医薬品の把握
- 残薬管理、服薬指導、副作用のフォロー
- お薬手帳の集約化
②健康サポートを実施する上での地域における連携体制の構築
- 健康サポートを実施する上での地域における連携体制の構築
- 健康サポート薬局に係る研修を修了し、一定の実務経験を有する薬剤師の常駐
- 個人情報に配慮した相談窓口
- 薬局の外側と内側における表示
- 要指導医薬品等、介護用品等の取扱い
- 開店時間
- 健康サポートの取組
健康サポートを実施する上での地域における連携体制の構築
- 要指導医薬品で対応できない場合に受診勧奨
- 連携機関の紹介
[介護サービス希望者に地域包括支援センター、公費負担の相談に市区町村の相談窓口の紹介など」 - 地域包括支援センターや介護事業所、訪問看護ステーションなど連携機関先のリスト作成
- 連携機関に対する紹介文書
- 地域の医師会・歯科医師会・薬剤師会などの関連団体との連携
[地域住民向けイベントの開催への協力、学校や老人クラブなどでの講演]
健康サポート薬局に係る研修を修了し、一定の実務経験を有する薬剤師の常駐
- 薬局薬剤師として5年以上の経験
- 技能習得型の研修8時間以上と知識習得型の研修22時間以上
- 研修修了証の有効期限は6年
[必要な研修を受ければさらに6年間延長可能]
個人情報に配慮した相談窓口
- パーテーション等で相談窓口を区切る
薬局の外側と内側における表示
- 健康サポート薬局の表示、具体的な支援内容、研修修了薬剤師の明記
要指導医薬品等、介護用品等の取扱い
- 要指導医薬品や健康食品、サプリメントの取扱い
特に機能性表示食品の違いや患者に合ったものの選別が求められます。
開店時間
- 平日は午前8時から午後7時までの間で8時間以上、土曜日あるいは日曜日で4時間以上開局
健康サポートの取組
- 販売内容・相談内容を3年間保存
- 定期的な薬の相談会や栄養相談会などの開催[月1回が望ましい]
このような要件をクリアした健康サポート薬局が、今後地域住民の健康を支援することが期待されています。
健康サポート薬局は、単純にOTCやサプリメントをたくさん売ることではありません。
薬局内だけで対応できない場合は、他職種や地域の関係機関につなぐことが健康サポート薬局の役割になります。
このことは今までの薬局業務ではなく、薬局薬剤師が地域包括ケアに積極的にかかわることを意味しています。
この健康サポート薬局ですが、厚生労働省は2025年までに1万-1万5000軒まで登録することを目標としています。