薬剤師の仕事内容で処方監査は重要です。最近は電子薬歴によってかなり確認が楽になりました。その様子を紹介します。
処方・薬歴確認:調剤を始める前に確認[処方監査]
調剤業務に入る前にすることが望ましい作業があります。
それは、処方せんの内容の確認[処方監査]です。
最近では、医療事務さんが処方入力をすれば、自動的に調剤をしてくれる機械が導入されている薬局もあります。
しかし、この場合は、飲み合わせが問題ないか?などの処方監査ができないので注意が必要です。
処方せんの内容の確認[処方監査]とは、薬歴の確認と処方内容の確認の2つを指しています。
薬歴の確認
薬歴とは、字のごとく、これまでに薬局でお渡ししたお薬の情報を記載している冊子になります。
病院でいうカルテと同じようなものです。
以前は紙に直接記載していましたが、最近では、電子薬歴というものが主流になっています。
そのため、電子薬歴における情報はすべてパソコン上で管理されているのです。
それでは、実際の薬歴の確認内容を確認してみましょう!
電子薬歴の例を載せています。
2014年頃の情報なので、加算の名称は少し古い情報です。
上の画面では、処方内容しかわかりませんが、項目を切り替えることができます。
項目を切り替えると、これまでに、どんなお薬を飲んでいて、患者さんからどのようなことを聞かれ、薬剤師がどのような説明をしたかが記録されています。
この薬歴から、主に以下の3つの項目を確認します。
- これまでと処方が変わってないか?
- 変わっていれば、アレルギーや既往歴、他の薬との飲み合わせは大丈夫か?
- 前回いつ来たのか、お渡ししたお薬[残薬]が家に残っていないか?
処方内容の確認
処方せんをじっくり確認したことがあるでしょうか?
実は、処方せんには、必要最低限のことしか記載されていません。
薬剤師が服薬指導する上で、一番困る点は何か想像できますか???
処方せんには、患者さんの病名が書かれてないんです。
薬によっては、同じ飲み方でも用途が異なる場合があります。
例えば、このホームページで何度も登場しますが“ロキソニン”
一般的には、痛み止め=鎮痛剤として使用されます。
しかし、解熱剤としての適応もあるため、処方せんを見ただけでは、痛み止めで処方されたのか、熱冷ましで処方されたのかわからないんです。[実際は、整形外科を受診したから痛み止めとわかったり、病院によっては病名を処方せんに示していてわかる場合もあります]
このことを踏まえた上で、主に以下の4つを確認します↓
- 投与量は適切か?[年齢や適応症によって量は異なります]
- 用法は適切か?[例.1日1回の薬が1日2回で出ている]
- 飲み合わせは問題ないか?[Drがすべての服用薬を把握できてないケースは多々あります。疾患による禁忌薬や併用禁忌、同系統の薬を飲んでいる場合があります]
- 新たに後発品に変えれる薬はないか?[患者さんの多くは安価な薬を望んでいます]
特に飲み合わせについては、電子薬歴を導入していると自動でチェックしてくれる機能がついてますので、非常に便利になりました。
投与量が多い場合、パソコンが注意喚起してくれるソフトもあります。
また、細かいところにはなりますが、
- 保険医氏名の印鑑の漏れがないか
- 処方せんは有効期限内か[通常処方せん交付日より4日以内]
- 薬の剤形、規格、用法、以下余白などの漏れはないか
- 投与日数は適切か[新薬や向精神薬などは日数制限あり]
- 麻薬処方の場合、免許番号と患者住所の記載漏れがないか
これら5つも形式的なことですが確認が必要となります。
このように、薬剤師の業務内容が機械[パソコン]に置き換わってきている最中です。
「対物から対人へ」という言葉のように、機械に任せることは任せ、対人業務により時間を割くことが求められています。