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薬剤師が知っておきたい体温計の正しい測定方法・使い方

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高血圧イラスト

在宅医療で関わるバイタルサインのひとつ、体温計の正しい測定方法・使い方を解説しています。

在宅医療におけるバイタルサインの重要性

在宅医療では、多剤投与[ポリファーマシー]の観点から薬剤師のフィジカルアセスメントやバイタルサインのチェックが重要視されています。

フィジカルアセスメントとは、患者に直接触れ、会話をすることで身体の状態を把握することを指します。

バイタルサインとは、血圧[BP]・脈拍[P:プルス]・酸素飽和度[SpO2:サチュレーション]・体温[KT]の4項目の測定に加え、呼吸数意識レベルを加えた6項目を指します。

在宅医療では、患者さん自身でチェックすることもあれば、現場の看護師さんや介護士さん、薬剤師が直接行うこともあります。

最近では、日本在宅薬学会理事長の狭間先生を中心とし、薬剤師向けのバイタルサイン講習会が多く開催されるようになりました。

薬剤師がバイタルサインをチェックすることで、次の3つに今まで以上に介入することが望まれています。

  1. 新たに投薬した薬が効いているのかどうか
  2. 漫然と投与されている薬の副作用が生じていないか
  3. 次回の処方時に何か処方提案できることがないか

体温とは?

ヒトは平熱が約37℃であり、冬場の寒い時期も夏場の暑い時期も大きく変わりありません。

なぜなら、40℃を超える高熱や35℃以下になると細胞の破壊や内臓の機能が破たんされてしまうためです。

このように周りの環境の温度によって体温が変わらない動物を恒温動物といいます。

体温を一定に保つことで、代謝機能を正常に保っているのです。

それでは、夏場と冬場どちらの方が痩せやすいと思いますか?

汗を掻きやすい夏場と思いがちですが、実は冬場の方が痩せやすいのです。

夏冬代謝

なぜなら、外部と体温との温度差が大きいため、冬場の方がエネルギーをたくさん消費して体温を上げようとするためです。

エアコンの電気代の原理も一緒で、冷房よりも暖房の方が寒暖差が大きいため消費エネルギー量は高くなります。

また、1日の中でも体温は少しだけ変動しています。

一般的に、日中から夕方にかけて最高体温になり、夜中から早朝にかけて最低体温になります。

体温概日リズム

これは、体内のホルモン量や自律神経系による概日リズム[サーカディアンリズム]が関連しているためです。

体温計の正しい測定方法、使い方、注意点

体温は測る部位や測定時間、タイミングなどによって変化します。

先ほど紹介したように、早朝は低く日中は高くなり、夜になるとまた低くなります。

以前は水銀式の体温計も使用されていましたが、現在は次の3つのタイプが使用されています。

  • 電子体温計[実測式]
  • 電子体温計[予測式]
  • 耳式体温計

電子体温計の測定方法、注意点

電子体温計

まず、電子体温計には実測式予測式の2つがあります。

いずれもサーミスタと呼ばれる電気抵抗値を基にした温度センサーによって感知します。

これらの違いは、字のごとく「実際の体温」か「予測された体温」かです。

そのため、実測式の場合は測定するのに10分程度かかる一方で、予測式の場合は30-90秒程度で平衡温を予測し測定できます。

実測式予測式

測定時のポイント・注意点は次の3点です。

電子体温計測定時のポイント、注意点
  • 実測式で正確な体温を測るには脇で10分以上舌下では5分以上測定する
    [ブザーが鳴るのは測定開始3-5分後の温度変化がほとんどなくなったタイミングです。この時点では、10分後の平衡温と呼ばれる体温よりも低い測定値になります。]
  • 毎回同じ体温計で同じ部位で測定する
  • 舌下で測る場合、舌の裏側の付け根部分につけ、口を閉じたままで測定する

耳式体温計の測定方法、注意点

耳式体温計

耳式の体温計は、サーモパイルと呼ばれる鼓膜の発する赤外線を基にした温度センサーによって感知します。

耳の穴を真っすぐにし、鼓膜が発する赤外線を上手く感知させることが重要です。

耳式体温計使用方法

測定時のポイントは次の3点です。

耳式体温計測定時のポイント
  1. 耳と脇や舌下では体温に差がある場合があるため、毎回同じ体温計、同じ部位で測定する
  2. 耳の奥[鼓膜]に向けてできるだけ深く挿入します
  3. 耳垢があると誤差が生じやすいため、耳はきれいにしておきます

脇や舌下で測定する場合で比べるとやや高めに測定値が出ることが報告されています。

予め耳式体温計で平熱を測ったうえで測定するようにしましょう!

基礎体温の測り方

基礎体温の測定によって不妊の原因がわかることもあるため、基礎体温を日々記録することは重要です。

体温の中でも基礎体温は、一番安静な時の体温を指します。

前述のとおり、体温は早朝が低く日中は高くなるため、朝起きてすぐに測る体温が基礎体温です。

基礎体温は少し動いただけでも微妙に変化するので、布団の中で測定します。

また、脇の下で測るのではなく舌下[舌の裏側]で測定します。

布団の中では脇の体温は高くなっており、舌下が一番誤差が少なくなるためです。

基礎体温測定方法

妊娠準備のために基礎体温を測って排卵日を予測する

標準的な女性の基礎体温は、排卵日を境に低温期と高温期に分かれます。

基礎体温低温期高温期

  1. 月経がはじまると体温は低くなり低温期が続きます。
  2. 卵管から卵子が排卵されると、体温は0.3~0.5度上昇し高温期に入ります。

精子は3日間ほど受精する力があり、卵子は1日が寿命と言われています。

そのため、排卵日の3日前から排卵日翌日までが妊娠しやすい日とされています。

妊娠しやすい日

排卵3日前・排卵2日前・排卵前日・排卵日・排卵日翌日の5日間

最近では、尿中のLH[黄体形成ホルモン]が排卵直前に高くなることを利用して、尿を使った排卵検査薬が使用されています。

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