気管支喘息やCOPDの治療薬、スピロペント[クレンブテロール]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
スピロペント[クレンブテロール]:気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬
スピロペント[クレンブテロール]は気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)症状の両方の疾患に使用される治療薬です。
気管支喘息とは?
気管支喘息とは、気管支の慢性的な炎症による呼吸困難や咳・たん、ぜん鳴を伴う疾患です。
ぜん鳴とは、呼吸をした際にゼーゼー、ヒューヒューといった呼吸の音を指しています。
気管支喘息の原因は、さまざまです。
子供の場合は、ハウスダストや花粉といったアレルギーが原因と言われています。
一方、大人になってからの喘息は半分以上が原因を特定することができません。
タバコや大気汚染といったものから、運動やストレス、気温の変化とさまざまな環境変化によって誘発されます。
しかし、原因が何であれ、気管支の粘膜部分に炎症が起きていることが喘息発作の原因とされています。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは?
COPDとは、肺が破壊されることによる呼吸困難や咳・たん、ぜん鳴を伴う疾患です。
ぜん鳴とは、呼吸をした際にゼーゼー、ヒューヒューといった呼吸の音を指しています。
COPDの原因の90%以上は、タバコ[受動喫煙含む]です。
その他、ハウスダストや大気汚染も原因となることがあります。
タバコやハウスダストなどの有害物質・異物は、肺中の肺胞に侵入します。
すると、肺が炎症を起こしたり、破壊されてしまうのです。
肺の炎症は、気管支を狭く、肺の破壊は酸素と二酸化炭素の交換を阻害し、呼吸困難を引き起こすのです。
COPDは、普段は無症状でも、階段を上った後や走った後などに呼吸困難に陥る”労作性”の疾患です。
そのため、実際に治療を受けている人は5%程度と言われており、未治療の隠れCOPDが多いのが実際です。
COPDは、糖尿病や骨粗しょう症、睡眠障害などのさまざまな疾患の危険因子であり、肺がんを合併することがあります。
また、免疫が落ちてしまうため、感染を予防することも必要です。
労作時の呼吸困難に加え喫煙歴があればCOPDを疑い、浮腫やうっ血に伴う体重増加、SPO2の測定などで初期症状を見逃さないようにしましょう!
スピロペント[クレンブテロール]の作用機序、特徴
気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因は、さまざまです。
原因が特定できる場合は、原因に暴露されないよう環境を整えることが第一です。
それに加え、炎症を抑えるための薬=抗炎症薬や狭くなってしまった気管支を広げるための薬=気管支拡張薬が使用されるのです。
気管支拡張薬には抗コリン薬やβ2刺激薬、メチルキサンチン、ステロイドが使用されます。
スピロペントは、長時間作動型吸入β2刺激薬[LABA]に分類される気管支拡張薬です。
スピロペントは、気管支においてβ2受容体に直接作用します。
β2受容体に作用すると、アデニル酸シクラーゼを活性化し、cAMP量を増加させるよう働きます。
cAMPの増加がAキナーゼの活性化をもたらし、気管支の平滑筋が弛緩するため、狭くなった気管支が拡がるのです。
やっくん
スピロペント[クレンブテロール]は、β2受容体刺激作用を示すことで、気管支平滑筋を弛緩し、狭くなった気管支を拡張します。
スピロペント[クレンブテロール]の副作用
スピロペント[クレンブテロール]は、気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫、急性気管支炎の治療薬として、1986年に発売された薬です。
主な副作用としては、振戦[2.0%]、動悸[1.2%]が挙げられます。
スピロペントの副作用ではまれに動悸を起こすことがあります。
これは、スピロペントの成分クレンブテロールが、気管支だけではなく心筋のβ2受容体にも作用してしまうためです。
スピロペント[クレンブテロール]の禁忌
- 下部尿路が閉塞している患者[下部尿路の閉塞を増悪させるおそれがあります。]