消化器疾患の治療薬として使用されるコランチル[ジサイクロミン/水酸化AL/酸化Mg]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
コランチル[ジサイクロミン/水酸化AL/酸化Mg]:胃・十二指腸潰瘍治療薬
コランチルは胃・十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍などで使用される治療薬です。
いずれの疾患においても、攻撃因子と粘膜防御因子のバランスが崩れていることが原因です。
防御因子:粘液、粘膜血流、プロスタグランジンなど
胃潰瘍では防御因子の減弱、十二指腸潰瘍では攻撃因子の増強が主な原因です。
胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の治療薬では、これら攻撃因子や防御因子に対して働きます。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療には、胃酸による胃や十二指腸への攻撃を防ぐ薬や、粘膜の防御を高める薬が使用されます。
コランチル[ジサイクロミン/水酸化アルミニウム/酸化マグネシウム]の作用機序
胃酸による胃や十二指腸への攻撃を防ぐ薬はいくつかあります。
胃酸そのものの分泌を抑制する薬や胃酸を中和する薬が使用されます。
コランチルは、ジサイクロミン、乾燥水酸化アルミニウムと酸化マグネシウムの合剤です。
マグミット、酸化マグネシウム[制酸薬]作用機序、特徴、副作用
ジサイクロミンは抗コリン作用を示しプロトンポンプの活性化を抑制します。
乾燥水酸化アルミニウム・酸化マグネシウムは、いずれもアルカリを示す薬のため、分泌された胃酸を直接中和します。
やっくん
コランチルは、ムスカリン受容体を阻害することでプロトンポンプの活性化を抑制し、さらに分泌された胃酸を中和することで、胃・消化性潰瘍を改善します。
コランチル[ジサイクロミン/水酸化アルミニウム/酸化マグネシウム]の副作用
コランチル[ジサイクロミン/水酸化アルミニウム/酸化マグネシウム]は、胃潰瘍を含む消化性潰瘍の治療薬として、1965年に承認された薬です。
主な副作用としては、口渇[3.9%]、下痢[0.7%]などが挙げられます。
長期投与時は、アルミニウム脳症、アルミニウム骨症、貧血に注意し、慎重に投与することとされています。
コランチル[ジサイクロミン/水酸化アルミニウム/酸化マグネシウム]の禁忌
- 緑内障
- 前立腺肥大による排尿障害
- 重篤な心疾患
- 麻痺性イレウス
- 透析療法
[長期投与によりアルミニウム脳症、アルミニウム骨症、貧血等があらわれることがあります。]