消化器症状の治療薬として使用される薬のひとつが末梢に働く薬のセレキノン[トリメブチン]です。
このページでは、セレキノン[トリメブチン]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
セレキノン[トリメブチン]:胃腸運動改善薬
セレキノン[トリメブチン]は、慢性胃炎に伴う、悪心や嘔吐、胸やけなど消化器症状の治療薬として使用されている薬です。
慢性胃炎は、攻撃因子と粘膜防御因子のバランスが崩れていることが原因です。
防御因子:粘液、粘膜血流、プロスタグランジンなど
胃潰瘍では、防御因子の減弱、慢性胃炎や十二指腸潰瘍では攻撃因子の増強が主な原因です。
慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎の治療薬では、これら攻撃因子や防御因子に対して働きます。
慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療には、胃酸による胃や十二指腸への攻撃を防ぐ薬や、粘膜の防御を高める薬が使用されます。
セレキノン[トリメブチン]の作用機序、特徴
胃酸にペプシン、NSAIDsといった薬からの攻撃を守るために、胃の防御機構を高める薬はいくつかあります。
- 胃粘膜保護作用にあるプロスタグランジンの合成を促進する薬
- 胃の粘液を増やす薬
- 胃粘膜の血流を高める薬
などが使用されます。
胃薬はこれらの作用を複数持ちあわせた薬が良く使用されます。
セレキノン[トリメブチン]の作用は少し変わっており、胃腸運動を調節する胃薬です。
胃腸運動が低下している際には、運動促進作用を示し、胃腸運動が亢進している際には、運動抑制作用を示します。
セレキノンの作用機序①:K+チャネル 、Ca2+チャネルの抑制
セレキノンは、直接胃腸の平滑筋に作用し、K+チャネルの抑制により胃腸運動を活発にします。
また、胃腸運動亢進時には、Ca2+チャネルの抑制により、胃腸運動をにします。
セレキノンの作用機序②:オピオイド受容体に作用
セレキノンは、アドレナリン作動性神経のμ受容体に作用し、ノルアドレナリン[NAd]の遊離を抑制することで、アセチルコリンの遊離を促進し、胃腸運動を活発にします。
また、胃腸運動亢進時には、アセチルコリン作動性神経のκ受容体に作用し、アセチルコリンの遊離を抑制し、胃腸運動を抑制します。
やっくん
セレキノン[トリメブチン]は、直接的な胃腸平滑筋収縮・弛緩作用や、アセチルコリンの分泌促進・抑制作用により、胃腸運動の調節作用を示します。
蠕動運動の低下や食べ物の消化に時間が掛かってしまうと、セレキノン[トリメブチン]の吸収低下やTmaxの延長を引き起こしてしまうため、添付文書上は食前服用となっています。
ガナトン[イトプリド]やガスモチン[モサプリド]も同じ末梢性の胃腸薬ですが、ガナトン・ガスモチンが消化管上部に作用するのに対し、セレキノン[トリメブチン]は消化管壁に働くため、若干作用部位が異なります。
セレキノン[トリメブチン]の副作用
セレキノン[トリメブチン]は、悪心や嘔吐、胸やけなどの消化器症状の治療薬として、1984年に発売された薬です。
主な副作用としては、発疹[0.08%]、下痢[0.05%]、便秘[0.04%]、そう痒感[0.03%]、口渇[0.02%]などが挙げられます。
セレキノン[トリメブチン]の禁忌
- 特になし