炎症性腸疾患の中でも潰瘍性大腸炎の治療薬として使用される薬のひとつが、アサコール[メサラジン]です。
メサラジンの前駆体であるサラゾスルファピリジンを成分とするアザルフィジンENは、関節リウマチの治療薬として、サラゾピリンはペンタサと同じく炎症性腸疾患の治療薬として使用されます。
このページでは、アサコール[メサラジン]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
アサコール[メサラジン]:炎症性腸疾患治療薬
アサコール[メサラジン]は、炎症性腸疾患の中でも潰瘍性大腸炎に対して使用される治療薬です。
炎症性腸疾患はIBD[Inflammatory Bowel Disease]とも呼ばれ、潰瘍性大腸炎[UC:Ulcerative Colitis]とクローン病[CD:Crohn’s Disease]の2つに分かれます。
いずれも原因不明の腸疾患ですが、免疫系の異常が原因であると考えられています[そのため自己免疫疾患に分類されることがあります]。
なぜ免疫反応が異常を起こすかは、はっきりとはわかっていません。
それぞれの炎症性腸疾患は、炎症部位が異なっており、使用する治療薬も若干異なります。
潰瘍性大腸炎 | クローン病 | |
炎症部位 内視鏡所見 |
粘膜のびらんや発赤 | 粘膜を超え筋層や漿層までの穿孔、狭窄 |
病変 | 大腸のみ[連続] | 口腔~肛門[不連続] |
治療薬 |
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アサコール[メサラジン]の作用機序、特徴
炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎、およびクローン病はいずれも自己免疫疾患と考えられています。
症状が強く出るときには、ステロイドや免疫抑制剤が使用され、ある程度症状が落ち着いているときには、5-ASA[5-アミノサリチル酸]製剤が使用される傾向にあります。
アサコール[メサラジン]は、比較的新しい5-ASA製剤です。
同じ炎症性腸疾患の治療薬であるサラゾピリンは、有効成分のサラゾスルファピリジンが大腸内の腸内細菌によってメサラジン=5-アミノサリチル酸[5-ASA]とスルファピリジンに分解されます。
この2つの分解物のうち、メサラジン[5-ASA]の作用で抗炎症作用を示すことが明らかとなっています。
アサコールの有効成分であるメサラジン[5-ASA]による抗炎症作用の作用機序は、全ては明らかにはなっていません。
主な作用機序としては、①炎症性細胞から放出される活性酸素の除去作用、②炎症性細胞の組織への湿潤を促すロイコトリエンの生合成抑制作用、以上2つの作用機序が考えられています。
やっくん
アサコール[メサラジン]は、活性酸素の除去作用やロイコトリエンの生合成抑制作用を示すことで、抗炎症作用を示します。
アサコール[メサラジン]の特徴:高分子ポリマーでコーティング
アサコールの有効成分であるメサラジンですが、大腸にたどり着く前に小腸で大部分が吸収されることが開発段階で問題となっていました。
そのため、メサラジン製剤は小腸で吸収されにくい製剤設計・製剤工夫をされた薬が複数使用されています。
例えば、同一成分の薬であるペンタサ[メサラジン]は、錠剤・顆粒剤ともに“エチルセルロース”でコーティングしており、薬剤が小腸から大腸にかけて全体に放出するよう製剤設計されている放出調節製剤です。
アサコール[メサラジン]は、“メタクリル酸コポリマーS[Eudragit®-S]”でコーティングしてあります。
これは、薬剤がpH7.0以上となる回腸末端からS状結腸や直腸までと大腸全体にかけて放出させるためにコーティングされており、アサコールはpH依存型放出調節製剤と言えます。
アサコール[メサラジン]の副作用
アサコール[メサラジン]は、炎症性腸疾患のうち潰瘍性大腸炎の治療薬として、2009年に承認された薬です。
主な副作用としては、肝機能異常(肝障害含む)[0.8%]、下痢[0.7%]、発熱(高熱含む)[0.7%]、頭痛[0.5%]などが知られています。
また、主な臨床検査値の異常としては、白血球数減少[0.3%]、CRP増加[0.2%]などが報告されています。
アサコール[メサラジン]の禁忌
- サリチル酸塩類に対し過敏症の既往歴
[交叉アレルギーを発現するおそれがあります。] - 重篤な腎障害
[腎障害がさらに悪化するおそれがあります。] - 重篤な肝障害
[肝障害がさらに悪化するおそれがあります。]