【新着記事】新型コロナウイルスの対策についてまとめました

リアルダ[メサラジン]の作用機序、特徴、副作用

記事内に広告を含みます

腹痛イラスト

炎症性腸疾患の中でも潰瘍性大腸炎の治療薬として使用される薬のひとつが、リアルダ[メサラジン]です。

メサラジンの前駆体であるサラゾスルファピリジンを成分とするアザルフィジンENは、関節リウマチの治療薬として、サラゾピリンはペンタサと同じく炎症性腸疾患の治療薬として使用されます。

このページでは、リアルダ[メサラジン]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。

リアルダ[メサラジン]:炎症性腸疾患治療薬

リアルダ[メサラジン]は、炎症性腸疾患の中でも潰瘍性大腸炎に対して使用される治療薬です。

炎症性腸疾患はIBD[Inflammatory Bowel Disease]とも呼ばれ、潰瘍性大腸炎[UC:Ulcerative Colitis]とクローン病[CD:Crohn’s Disease]の2つに分かれます。

いずれも原因不明の腸疾患ですが、免疫系の異常が原因であると考えられています[そのため自己免疫疾患に分類されることがあります]。

なぜ免疫反応が異常を起こすかは、はっきりとはわかっていません。

それぞれの炎症性腸疾患は、炎症部位が異なっており、使用する治療薬も若干異なります。

潰瘍性大腸炎 クローン病
炎症部位
内視鏡所見
粘膜のびらんや発赤 粘膜を超え筋層や漿層までの穿孔、狭窄
病変 大腸のみ[連続] 口腔~肛門[不連続]
治療薬
  • ステロイド
  • 免疫抑制剤
  • 5-ASA製剤
  • 抗TNFa療法
  • 抗TNFa療法
  • ステロイド
  • 免疫抑制剤
  • 5-ASA製剤
  • 栄養療法

リアルダ[メサラジン]の作用機序、特徴

炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎、およびクローン病はいずれも自己免疫疾患と考えられています。

症状が強く出るときには、ステロイドや免疫抑制剤が使用され、ある程度症状が落ち着いているときには、5-ASA[5-アミノサリチル酸]製剤が使用される傾向にあります。

チェック

リアルダ[メサラジン]は、新しいDDS[ドラッグデリバリーシステム]の5-ASA製剤です。

同じ炎症性腸疾患の治療薬であるサラゾピリンは、有効成分のサラゾスルファピリジンが大腸内の腸内細菌によってメサラジン=5-アミノサリチル酸[5-ASA]とスルファピリジンに分解されます。

この2つの分解物のうち、メサラジン[5-ASA]の作用で抗炎症作用を示すことが明らかとなっています。

リアルダの有効成分であるメサラジン[5-ASA]による抗炎症作用の作用機序は、全ては明らかにはなっていません。

主な作用機序としては、①炎症性細胞から放出される活性酸素の除去作用、②炎症性細胞の組織への湿潤を促すロイコトリエンの生合成抑制作用、以上2つの作用機序が考えられています。

アサコールメサラジン作用機序

やっくん

リアルダ[メサラジン]は、活性酸素の除去作用やロイコトリエンの生合成抑制作用を示すことで、抗炎症作用を示します。

リアルダ[メサラジン]の特徴①:高分子ポリマーでコーティング

リアルダの有効成分であるメサラジンですが、大腸にたどり着く前に小腸で大部分が吸収されることが開発段階で問題となっていました。

そのため、メサラジン製剤は小腸で吸収されにくい製剤設計・製剤工夫をされた薬が複数使用されています。

MEMO

例えば、同一成分の薬であるペンタサ[メサラジン]は、錠剤・顆粒剤ともに“エチルセルロース”でコーティングしており、薬剤が小腸から大腸にかけて全体に放出するよう製剤設計されている放出調節製剤です。

また、アサコール[メサラジン]は、“メタクリル酸コポリマーS[Eudragit®-S]”でコーティングしており、薬剤がpH7.0以上となる回腸末端から大腸全体にかけて放出するよう製剤設計されているpH依存型放出調節製剤です。

チェック

リアルダ[メサラジン]は、“メタクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体(1:1)、メタクリル酸-メタクリル酸メチル共重合体(1:2)でコーティングしており、アサコール同様pH7.0以上になると薬剤が放出されるよう製剤設計されているpH依存型放出調節製剤です。

リアルダ[メサラジン]の特徴②:マトリックス構造に親水性・親油性の2つの基剤

リアルダ[メサラジン]は、素錠部にマトリックス構造を採用し、親水性基剤と親油性基剤の2つの基剤からできています。

小腸下部付近に到達したメサラジンは、特徴①のpHの変化によりコーティングが崩壊し素錠部がむき出しになります。

リアルダDDSpH応答コーティング親水性基剤親油性基剤マトリックス

[持田製薬HPより引用]

チェック

大腸内へ到達したメサラジンは、親水性基剤によるゲル化、親油性基剤による腸液の侵入防止で、ゆっくりと放出されます。

この親水性基剤と親油性基剤をマトリックス構造に取り込むことで、薬剤の放出を徐放化することに成功し、大腸全体にメサラジンが作用するよう設計されているのです。

リアルダ[メサラジン]の安定性:冷所保存の理由

他のメサラジン製剤が室温保存であるのに対し、リアルダは冷所保存の製剤です。

リアルダが冷所保存となっている理由は、“溶出性”の変化にあります。

室温保存を続けると溶出性が規格外となってしまい、リアルダ[メサラジン]の吸収率低下や大腸全体への放出が保てなくなると考えられます。

各温度条件下での安定性についてインタビューフォームより一部抜粋してみました↓

条件 期間 結果
15℃・PTP 36ヶ月 適合
20℃/65%RH・PTP 12ヶ月 適合
30℃/65%RH・PTP 6ヶ月 3ヶ月まで安定
6ヶ月で溶出性が規格上限
40℃/25%RH・遮光/密閉 3ヶ月 3ヶ月で溶出性が規格上限

[リアルダ錠1200mgIFより一部抜粋]

以上のデータから、長期的に室温保存することによってリアルダの溶出性に大きな変化が生じると考えられます。

また、海外での保存方法は25℃以下と定められていることから、少々室温に放置してしまったところで、製剤の有効性には影響がないと考えられます。

リアルダ[メサラジン]の副作用

リアルダ[メサラジン]は、炎症性腸疾患のうち潰瘍性大腸炎の治療薬として、2016年に承認された薬です。

注意

主な副作用や臨床検査値異常としては、尿中N-アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG)増加[5.2%]、ビリルビン増加[3.2%]、潰瘍性大腸炎の悪化[3.0%]、アミラーゼ増加[1.5%]、腹部膨満[1.0%]、頭痛[1.0%]、貧血[1.0%]、CRP増加[1.0%]、尿中蛋白陽性[1.0%]などが知られています。

リアルダ[メサラジン]の禁忌

  • サリチル酸塩類に対し過敏症の既往歴
    [交叉アレルギーを発現するおそれがあります。]
  • 重篤な腎障害[腎障害がさらに悪化するおそれがあります。]
  • 重篤な肝障害[肝障害がさらに悪化するおそれがあります。]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

error: Content is protected !!