脂質異常症治療薬、ロトリガ[オメガ-3脂肪酸エチル]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
ロトリガ[オメガ-3脂肪酸エチル]:脂質異常症[高脂血症]治療薬
ロトリガ[オメガ-3脂肪酸エチル]は脂質異常症[高脂血症]の治療に使用される治療薬です。
脂質異常症は、糖尿病や高血圧と同様に、メタボリックシンドロームの診断基準に加えられる生活習慣病です。
血液中のLDL-コレステロール[悪玉コレステロール]やトリグリセリド[中性脂肪]が多かったり、HDL-コレステロール[善玉コレステロール]が少なくなっている状態を指します。
これらは、特に自覚症状がありませんが、主に血管が硬くなることで動脈硬化を引き起こしたり、血管の損傷や詰まりが起こりやすくなります。
そのため、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、脳出血などの血管に関連する疾患のリスクを高めるのです。
脂質異常症[高脂血症]の原因
脂質異常症は、生活習慣病と言われることから、その原因は食事と運動です。
食事では、脂のイメージが高い肉類だけでなく、ご飯やパン、スイーツなどの糖質も原因のひとつです。
なぜなら、必要以上の糖質は体内の脂肪合成に使用されるからです。
また、運動はカロリーの消費のみでなく、悪玉LDL-コレステロールを減らし、善玉HDL-コレステロールを増やす働きがあります。
ロトリガ[オメガ-3脂肪酸エチル]:脂質異常症[高脂血症]治療薬
脂質異常症の患者は、その原因である食事の改善や適度な運動が推奨されています。
それでも、十分にコレステロールや中性脂肪の数値が改善しない場合に、薬を服用します。
ロトリガは、EPA[イコサペント酸エチル]とDHA[ドコサヘキサエン酸エチル]を主成分とする脂質異常症の治療薬です。
EPAとDHAはオメガ-3系の脂肪酸に分類されます。
トリグリセリドは、アセチルCoAから合成され、エネルギーが必要なときはβ酸化によりアセチルCoAを経て、クエン酸回路で代謝されます。
ロトリガは、肝臓中のトリグリセリドに働き、トリグリセリドの合成抑制、代謝促進作用を示します。
やっくん
ロトリガ[オメガ-3脂肪酸エチル]は、EPAとDHAを含有する薬で、トリグリセリドの合成抑制・代謝促進に働くことで、血中のトリグリセリドを低下させます。
ロトリガ[オメガ-3脂肪酸エチル]の特徴:エパデールとの違い
ロトリガはEPA[イコサペント酸エチル]とDHA[ドコサヘキサエン酸エチル]の2つが主成分であり、エパデールはEPAのみの薬です。
ロトリガを2包/日服用した群と、エパデール600を3包/日服用した群を比較した結果、ロトリガ群が血中トリグリセリド濃度の減少作用が高いことを臨床試験で示されています。
ロトリガ 2包 | エパデール600 3包 | |
---|---|---|
EPA含量 | 1860mg | 1800mg |
DHA含量 | 1500mg | 0 |
トリグリセリドの減少 | 22.7% | 11.3% |
この結果は、ロトリガ 2包とエパデール600 3包中のEPA量はほぼ変わりないため、ロトリガ2包中のDHA1500mgによるものと考えられます。
DHAは、脳や心臓に対してEPAよりも移行しやすいため、心原性の血栓や、認知機能に対してもプラスに働くのではと考えられています。
ロトリガ[オメガ-3脂肪酸エチル]を食直後に服用する理由
ロトリガの成分、EPA[イコサペント酸エチル]とDHA[ドコサヘキサエン酸エチル]が吸収されるには、胆汁さんや食物中の成分が必要となります。
つまり、しっかり体内に吸収させるために食直後に服用するのです。
ロトリガ[オメガ-3脂肪酸エチル]の副作用
ロトリガ[オメガ-3脂肪酸エチル]は、脂質異常症の治療薬として、2013年に発売された比較的新しい薬です。
主な副作用としては、下痢[2.5%]、便秘[0.7%]、肝機能異常[0.5%]、腹部膨満[0.5%]などが報告されています。
ロトリガ[オメガ-3脂肪酸エチル]の禁忌
- 出血している患者(血友病、毛細血管脆弱症、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、硝子体出血等)
[止血が困難となるおそれがある。]