前立腺肥大症の治療薬、エブランチル[ウラピジル]の作用機序、特徴、副作用について解説しています。
エブランチル[ウラピジル]:前立腺肥大症治療薬
エブランチル[ウラピジル]は、前立腺肥大症に伴う排尿困難の治療薬として使用されています。
前立腺とは、男性が持つ膀胱の下部にある生殖器であり、精液を作ったり、精子を守ったりといった働きをしています。
この前立腺が何らかの影響で大きく膨れがってしまい、尿が出にくくなってしまう病気が前立腺肥大症です。
前立腺肥大症の原因
前立腺肥大症の原因は、大きく2つに分けられます。
前立腺そのものが大きくなりすぎている場合と、交感神経が過敏に緊張し尿道が狭くなっている場合です。
- 物理的な原因:前立腺そのものが大きくなる
- 機能的な原因:交感神経の緊張
エブランチル[ウラピジル]の作用機序、特徴
前立腺肥大症に伴う排尿困難の中で最も多く使用されている薬が、α1遮断作用を持つ薬です。
前立腺肥大症の機能的な原因で出てきたように、交感神経の緊張が排尿困難を引き起こすひとつの原因です。
この交感神経の緊張を緩めるために、α1遮断薬が使用されます。
α1遮断薬のひとつがエブランチル[ウラピジル]です。
エブランチルは、前立腺に存在するα1受容体をブロック、遮断することにより、過剰は交感神経の働きを抑えることで前立腺平滑筋を弛緩し、尿道を確保する薬です。
やっくん
エブランチル[ウラピジル]は、前立腺にあるα1受容体を阻害することで、ノルアドレナリンの働きによる前立腺の収縮を抑制し、前立腺肥大症に伴う排尿困難の治療に使用されます。
エブランチルは、前立腺のみでなく血管平滑筋のα1受容体にも作用します。
そのため、血管拡張作用を持つことから、高血圧の治療薬としても使用されています。
エブランチルの高血圧に関する解説はコチラ
エブランチルの特徴:神経因性膀胱に対して女性にも使用
エブランチルは、前立腺肥大症のみでなく、神経因性膀胱に対しても使用されます。
そのため、α遮断薬の中で唯一女性にも使用できる製剤です。
私たちは、膀胱に500mL以上の尿を溜めることができます。
しかし、通常は200~300mL溜まった時点で、神経を通じて脳に信号を送り、膀胱に尿が溜まってきたことを知らせます。
これにより、脳は、トイレで排尿していいですよといった指令を送るのです。
神経因性膀胱とは、膀胱と脳との間の信号・指令がうまく伝わらない疾患なのです。
エブランチル[ウラピジル]の副作用
エブランチル[ウラピジル]は、前立腺肥大症の治療薬としては、1995年に承認された薬です。
主な副作用としては、立ちくらみ[1.56%]、めまい[1.19%]、ふらつき[0.77%]、頭痛・頭重[0.54%]などが挙げられます。
エブランチルの副作用で立ちくらみ、めまい、ふらつきが起こる理由
エブランチルは、前立腺のα1受容体を遮断する作用を持っています。
一方で、α1受容体の中でも、血管内に多く存在するものもあります。
エブランチルは、血管のα1受容体にも遮断作用を示すため、血圧が下がり、めまいやふらつきを起こしやすくなるのです。
エブランチルは他のα受容体遮断作用を持つ前立腺肥大症の治療薬に比べ、血管に対する選択性が高いため、降圧薬としての適応も取れています。
エブランチルの降圧薬としての解説はコチラ
エブランチル[ウラピジル]の禁忌
- 特になし