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ホルマリンの作用機序、効能、使い方

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消毒薬イラスト

組織固定薬であるホルマリンの作用機序、効能、使い方について解説しています。

ホルマリン:中水準消毒薬、組織固定液

ホルマリンは、中水準の消毒薬に分類されますが、現在は消毒薬の用途では使用されません。

MEMO

日本薬局方ホルマリン[ホルムアルデヒド35.0~38.0%溶液]を10~20%に薄めたもの[ホルムアルデヒド3.7~7.4%溶液]が、組織固定液として使用されています。

組織の固定とは?

組織の固定とは、病理学的検査の際に行う処置のひとつです。

一般に、身体に腫瘍ができた際は良性・悪性で治療の方針が異なります。

良性なのか悪性なのかを明らかにするために行う検査、これが病理学的検査です。

病理学的検査の流れは次の通りです。

  1. 臨床医が内視鏡やメスを用いて腫瘍の一部を採取します。
  2. 病理検査室で、臨床検査技師がホルマリンを使用して固定、切り出し、パラフィン浸透や染色等を行い、顕微鏡標本を作製します。
  3. 病理医が顕微鏡を用いて、病理診断(良悪性の決定)を行います。

組織の固定とは、組織の腐敗や破壊を防ぎ、一定の硬さを持たせることで顕微鏡標本を作製しやすくすることが目的です。

ホルマリンの作用機序、特徴

ホルマリンは、ほぼ全ての微生物に消毒効果を示す中水準消毒薬です。

しかし、最近では消毒薬としては使用されません。

ホルマリン燻蒸

以前は、ホルマリン燻蒸と呼ばれる方法で消毒薬として使用されていました。

ホルマリン燻蒸とは、ホルマリンをミスト状態にすることで器材や環境を消毒する方法です。

しかし、使用後にホルムアルデヒドの濃度が高くなり、毒性が非常に高いといったデメリットや、すべての面にホルムアルデヒドが付着するわけではないため効果が不十分であることから、最近では使用されなくなりました。

最近では、使用後のホルムアルデヒドを分解する装置や、効果を十分にするためミストよりもさらに細かくした装置が開発されています。

今後は、このような装置を使ったホルマリン燻蒸が行われるかもしれません。
ホルマリンは、現在は主に、組織の固定液として使用されています。

組織固定液にホルマリンを使う理由

組織の固定液にはホルマリンに加え、エタノールやメタノールなどアルコール類が使用されてきました。

組織の固定とは、細胞に含まれる水分を除去することと、タンパク質を凝固し安定化させることです。

ホルマリンは、アルデヒド基を含みます。

ホルマリン固定機序

アルデヒド基がタンパク質中のアミノ基と反応することでヒドロキシメチル基を生成します。

生成したヒドロキシメチル基が再度タンパク質のアミノ基と反応することで、メチレン架橋を形成し組織[タンパク質]が安定化するのです。

中性緩衝ホルマリンと非緩衝ホルマリンの違い

日本薬局方のホルマリンは、徐々にホルマリン自身が酸化されギ酸に分解されていきます。

ギ酸は酸性を示すため、酸性環境下で生成しやすく、中性やアルカリ性下では生成しにくいとされています。

生成されたギ酸は、組織に影響を与えるため固定には必要がない成分です。

中性緩衝ホルマリン違い

そのため、ギ酸の生成を抑えるために、緩衝剤を加えpHを中性に調節した中性緩衝ホルマリンが使用されるのです。

ホルマリンの使い方、注意点

ホルマリンを使用する際、使用する方の注意点をまとめてみました。

使用方法・注意点
  1. 毒性が強いため、マスクや手袋などの防護具を着用します。吸入毒性もあるため、換気も行います
  2. 局所排気装置、プッシュプル型換気装置などの換気装置を配置します
  3. 作業主任者を選定する
  4. 定期的に作業環境のホルムアルデヒド濃度を測定します
  5. 作業記録を保存します
  6. 6ヶ月に1回以上の健康診断を受けます

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