サイデックスプラス［グルタラール］作用機序、効能、使い方

高水準消毒薬であるサイデックスプラス［グルタラール］の作用機序、効能、使い方について解説しています。

サイデックスプラス［グルタラール］：高水準消毒薬

サイデックスプラス［グルタラール］は、高水準の消毒薬として内視鏡などの消毒に使用されています。

消毒薬といえばエタノールやミルトン、イソジンなどが有名ですが、実は医療機関では10種類以上が使用されています。

これら10種類以上の消毒薬をどのように使い分けしているかというと、次の2つです。

消毒薬の使い分け：①何を殺したいか？

消毒薬の対象は微生物ですが、微生物といってもウイルスや細菌、真菌などさまざまです。

これら微生物は消毒薬が効きやすいものもあれば、ほとんど消毒薬が効果がないものも含まれます。

一般的に、消毒薬に対する抵抗性は、

芽胞菌＞ウイルス＞結核菌＞真菌＞一般細菌

の順に強いとされています。

そのため、どの微生物に効果があるかで消毒薬は大きく3つに分類分けされているのです。

芽胞菌を含む全ての微生物に効果がある消毒薬が高水準消毒薬、ウイルスに効果がある消毒薬が中水準消毒薬、一般細菌にしか効果がない消毒薬が低水準消毒薬です。

先ほどの表を消毒薬の強さで分類分けすると次のようになります。

消毒薬の使い分け：②何に使用するか？

消毒薬にはそれぞれ特性があり、何に使用するかでも使い分けを行います。

一般的に、効果が高い消毒薬ほど毒性が高いため使用できる範囲が狭く、効果が低い消毒薬は安全性が高いため様々な用途で使用されます。

高水準消毒薬＝毒性が高い＝用途が限られる

低水準消毒薬＝毒性が低い＝多用途で使われる

そのため、何に使うかを考えた場合、各消毒薬の特性を理解して、使い分けを行います。

サイデックスプラス［グルタラール］の作用機序、特徴

サイデックスプラスは、有効成分のグルタラールに含まれるアルデヒド基が、菌体の細胞外膜や細胞外壁の一級アミン、-SH基並びにタンパク質と結合し、縮合反応を示すことでアルキル化します。

これにより、DNAやRNAの合成阻害作用、呼吸抑制作用を示し、殺菌効果を示すと考えられています。

サイデックスプラス［グルタラール］の効果、用途

サイデックスプラス［グルタラール］は、医療器具の化学的滅菌又は殺菌・消毒薬として、1992年に承認された薬です。

以前は2％の製剤が使用されていましたが、調製後の使用期限が短かったため3.5％と濃度を高めています。

医療器具でも、主に内視鏡の消毒に使用されます。

毒性が強いため、ヒトに対しては用いられません。

また、器具の消毒を行った場合は十分なすすぎが必要になります。

20分間の浸漬消毒でほとんどの微生物に対して効果を示します。

芽胞菌に対しては、菌種にもよりますが、20分～60分の浸漬消毒を行います。

高水準消毒薬に分類されていますが、ディスオーパより効果が強く、アセサイドより効果が劣ります。

サイデックスプラス［グルタラール］の使い方、注意点

サイデックスプラス［グルタラール］を使用する際の手順、注意点をまとめてみました。

通常、20分程度で効果がありますが、汚れなどの有機物によって効果が落ちる場合があります。

そのため、体液等の付着した器具の消毒には1時間以上、体液等の付着しない器具の消毒には30分以上を浸漬時間にすると定められています。

サイデックスプラス［グルタラール］の使用期限

• 未開封時の使用期限：製造から3年
• 開封後の使用期限：製造から3年
• 緩衝化剤混合後［実用液］の使用期限：50回あるいは28日